2006年08月14日

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・運命ではなく
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ノーベル文学賞作家ケルテース・イムレの自伝的な代表作。

第二次世界大戦下のハンガリーで、ユダヤ人の少年は突然に逮捕され、アウシュビッツへ送られる。強制収容所での劣悪な生活環境、死と暴力に隣り合わせの過酷な日々。そして終戦と解放。故郷では家族も家も失われていた。

そんな絶望的な状況であっても、希望を失わず、自らの人生を力強く生きる主人公。運命に従うのではなく、自由意思で選び取っていくことが、意味や価値のある人生なのだということを悟る。

戦争とホロコーストが題材だが、反戦のメッセージはほとんどない。強制収容所の大虐殺に対する批判もない。それがケルテース・イムのノーベル賞受賞がだいぶ遅れた一因ではないかと推測されているらしい。悲惨な場面も多々あるが、受身ではない主人公は淡々と前へ前へと歩いている。

これは小説の形をした人生論だと思った。アカデミー賞、カンヌ映画賞受賞の映画「ライフ・イズ・ビューティフル」と似た印象を持った。どんな状況でも、自分の人生を自由意志で選んで生きていると確信できる人は幸福だ。「強制収容所での幸せについて、僕は話す必要がある」という著者のことばは、豊かな国でも貧しい国でも、普遍的な意味を持つメッセージになる。それがノーベル賞受賞の理由なのだろうなと感じた。

・ライフ・イズ・ビューティフル
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「第2次世界大戦下、明日をも知れない極限状態に置かれながらも、決して人生の価値を見失わず、豊かな空想力を駆使して愛する家族を守り抜いた、勇敢な男の物語。」

終戦関連:

・「アトミック・カフェ」と「美しい夏 キリシマ」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003460.html

・父と暮らせば
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002020.html


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Posted by daiya at 2006年08月14日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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