2006年07月13日

数学と論理をめぐる不思議な冒険このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・数学と論理をめぐる不思議な冒険
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論理、無限、確率という数学的思考をめぐるエッセイ集。語られる内容は硬いが、各章が著者の体験の回想だったり、歴史上の数学者の物語風になっていたりと、読み物として読みやすくする工夫がされている。

第一部では「論理的に証明されて正しいことがわかる」という数学の常識について検討している。論理的に証明することと、正しいとわかることは別物である。論理的な証明がなくても正しいと感じることはできる。逆に、想像しがたくても論理的にはありえる体系をつくることができる。では論理的に納得する、正しいと信じるとはどういうことか、をテーマに著者の体験談や古今の哲学者、数学者の思考が、物語的に次々に語られる。ある論理体系は、別の論理体系より、より正しいというのではなくて、世界を理解するために、より便利だから選択されているという考え方もできる。

こんな風に数学についての概念を、ときに哲学的に著者は考察を重ねていく。ユークリッドからゲーデルまで、古今東西の天才数学者や科学者たちの物語もたっぷり織り込まれている。

個人的には医師アンドルー・ワイルの「四つ葉のクローバー探しの名人女性」の話が面白いと思った。アンドルー自身は四つ葉のクローバーをいくら探しても見つけられない。だがこの女性は常に見つける。「この人はクローバーがあるところには、必ず四つ葉のがあってそれが見つかるのを待っていると信じている。見つかるのには、そのことが鍵だということを悟った。そう信じると見つかる可能性が出てくる。そう信じていなければ可能性はない。」。

証明が真かどうかを証明する前から、それが真だと信じていることが、証明を成功させる可能性につながっている。疑うことが大切というだけではなくて、むしろ信じるということが科学者の創造性の源にある。


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Posted by daiya at 2006年07月13日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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