2006年07月12日
“ことば”の仕事
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作家、ライター、学者、評論家、翻訳者、発行人、大学教員など9人の著名人に、「言葉をあつかう仕事で今何が起きているのか、なにができるのか」という問題意識をもって、仲俣暁生氏がインタビューしている。
各インタビューから気になる言葉を抜書きしてみた。
「自分はのりしろだと思っている」小熊英二氏
「価値ってなんだろうということを、もう一度考えたいんですよ」山形浩生氏
「昔から、ものすごく根本的な幼児の問いのようなものがあるんです。世界というのはなんで存在しているんだろう、とか、自分はなぜ生きているんだろう、とか。そんなふうに自分の根拠に関わっているものについて理詰めで論理を構築したいという気持ちが、文章を書くときにはどこかで働いている」佐々木敦氏
「メディアの世界には、ビジネスの話になるととたんに拝金主義者呼ばわりする人が多いけど、ぼくにとっては出版そのものをグランドデザインの部分から組み立てている今のほうが、編集者をしていたときより、仕事にものすごいダイナミズムを感じる」小林弘人
「...小さなメディアを育み、それをネットワーク化して、今の日本のマスメディア中心の生態系を重層化、多層化していく...」水越伸氏
「私たちのつながりはアソシエーション。その意味では同好会とかと同じです。ネット代や本代、交通費といった出費は、それぞれの手弁当というかたちでやってます」斉藤かぐみ氏
「若いときから、ライターをやっていると「作家になりたいの?」ってよく言われて、ライターってそんなにダメな仕事なのか、どうして双六のアガリの途中みたいに言われちゃうのか、っていうことにも違和感を感じていた」豊崎由美氏
「はたしてそれがいいことなのか、悪いことなのかはわからないけれど、自分たちは物語を消費できるようになった、最初の世代だという印象が強いんです」恩田陸氏
「文章を書いたり編集したりすることは、曲解や誤解などをふくめて、いったん中に入れたものをまた出すことで、基本的には翻訳者の仕事と同じだと思うんです。」堀江敏幸氏
言葉や出版の現在と未来について各社各様の認識がありそうだけれども、ある種の覚悟を持って言葉の仕事をしているという点が共通しているなと思った。だから、インタビューが面白い。そしてこの言葉の使い手の持つ覚悟の質と量が、その国の文化の指標なのではないかと思った。
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Posted by daiya at 2006年07月12日 23:59