2006年06月19日
ビジョナリーカンパニー【特別編】
スポンサード リンク
全米200万部のベストセラー「ビジョナリーカンパニー2」の付属論文。
前著で語られた偉大な企業組織とは何かというテーマを、医療、教育、役所、NPOなどの社会セクターに適用する。非営利組織においてもビジョナリーカンパニーの「偉大な」組織への飛躍の法則ははたらいていることを説明する。
目次
一 偉大さの定義 経営指標が使えないなかで、偉大さを判断する
二 第五水準のリーダーシップ 分散型組織構造で成功を収める
三 最初に人を選ぶ 適切な人をバスに乗せる
四 針鼠の概念 利益動機のないなかで、経済的原動力を見直す
五 弾み車を回す ブランドを構築して勢いをつける
社会セクターの偉大さは金銭的指標では測れない。企業にとってはコストや利益の数字が偉大さを測るインプットであり、アウトプットであるが、社会セクターでは金銭はインプットではあってもアウトプットではないからだ。
社会セクターでは、投資した資本に対しどれだけの利益が得られたかではなく、使った資源に対してどれほど効率的に使命を達成し、社会に際立った影響を与えたかで偉大さを測るべきだという。たとえば楽団であれば、年間のスタンディングオベーションの数、演奏できる高度な演奏技術を必要とする楽曲の数、音楽祭に招かれた回数、チケットの需要。社会セクターの実績測定は、経営指標のように数量化できる必要はなく、厳然たる質的事実を集めて証拠とする弁護士のような仕事となる。
人材の流動性が企業組織よりも小さい社会セクターでは何より、優秀な人材を選別し「バスに乗せる」ことが大切になる。重要なのは報酬をどう支払うか(あるいは、いくら支払うか)ではなく、だれに支払うのか(誰がバスに乗っているのか)なのである。偉大な社会セクターがどのようにして、意識が高く能力のある一級の人材を集めているかの実例がいくつか示される。
そして志の高いビジョンと経済的原動力の関係、組織を際立たせるブランド構築法など、ビジョナリーカンパニーのやり方を、社会セクターの経営に最後まで翻訳していく。偉大な組織のあり方は、どちらの世界にも共通であり、普遍性を持つということがわかる。
ドラッカーの「非営利組織の経営」にも通じる部分が多くあった。要するに高い志と優秀さが鍵なのだ。こちらも学生時代にNPOの支部代表をしていたとき、読んで感銘した。NPO活動に従事する人にはどちらもおすすめ。
私が所属している団体がNPO法人になって、法人の理事になるので、読み直した次第。
・非営利組織の経営―原理と実践
スポンサード リンク
Posted by daiya at 2006年06月19日 23:59 | TrackBack