2006年06月16日
自動販売機の文化史
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(すみません。イベント報告第2弾の予定だったのですが本日出張でまとめている時間がありませんでした。今日は書いておいた書評記事です。報告は明日に続けます。それまで山下さんのページにイベント関連の情報が集約されてきています。みてみてください。)
自販機の歴史、技術の進歩、各国の事情、自販機と環境問題、自販機の文化論。
この本には2001年時点では、日本全国に自動販売機は550万台を超え、年間売上高は7兆円に達していると書かれていた。最新の数字を探してみたら、次のデータが見つかった。とても興味深い情報なので長めに引用させていただく。
・日本自動販売機工業会
http://www.jvma.or.jp/pdf/fukyu2005.pdf
自販機普及台数及び年間自販金額
「
○普及台数 558 万台
2005 年末現在における自販機及び自動サービス機の普及台数は、対前年比
100.6%の558 万2,200 台となりました。
普及台数は1984 年に500 万台に達しましたが、その後緩やかな増加に転じ、90
年代以降はほぼ横ばいで推移しています。
主力分野は飲料自販機で、全体の48.0%を占めています。昨年の飲料自販機の普
及台数は、清涼飲料機において中身商品メーカーが自社製品の専用販売ツールとし
ての自販機の有用性を再認識し活発に自販機投資を進めたことから2.2%増となり、
コーヒー・ココア等のカップ機や酒・ビール機が減少したものの全体では1.1%の
増加となりました。一方、たばこ自販機は出荷自体は好調でしたが、大型機への集
約などにより1.0%の微減となりました。券類自販機は、乗車券機が新線の開通に
より、食券機がファストフード店などでの増加により2.9%の伸びを示しました。
その他自販機及び自動サービス機はほぼ前年並み、食品自販機は大幅な減少となり
ました。
○自販金額 6 兆9,943 億円
2005 年(1〜12 月)の自販機及び自動サービス機によって販売された商品、サー
ビスの年間売上金額(自販金額)の合計は6 兆9,943 億57 万円で、前年比1.0%の
増加となりました。
主力の飲料分野は、普及台数が微増したこととマーケット全体が堅調に推移した
ころから1.3%の増加となりました。たばこ分野は普及台数が1%減少したものの
年間自販金額はほぼ前年並みとなりました。
○諸外国の状況
諸外国で普及台数・年間自販金額調査が実施されているのはアメリカのみで、同
国の普及台数は774 万台(2004 年末:5 頁参照)とわが国より210 万台強多いもの
の、自販金額では442 億ドル(約4 兆8,600 億円)となり、日本の70%程度となっ
ております。なお、米国の統計には日本のものと異なり券類自販機、日用品雑貨自
販機(新聞自販機など)などは含まれていません。
アメリカ、日本に次ぐ自販機普及国はドイツで、たばこ自販機が70 万台程度、飲
料・食品自販機が30〜40 万台と言われています。また、中国では上海、北京などの
大都市で普及が始まっていますが、絶対数としてはいまだ低い水準にあります。
」
日本は自販機大国なのである。普及台数では世界第2位だが、一人当たりの台数や、販売金額では第一位である。著者は自販機が普及する条件として、
・便利を好み
・工業化を成し遂げ
・消費社会化し
・労働力不足があり
・定価販売の商慣習を持つこと
を挙げている。これらの条件を日本はよく満たしているという。
私はだいたい1日に2回くらい飲料を買う(7200円)。2日に一回タバコを買う(3000円)かな。その他の自販機利用は珍しいから、一ヶ月に12000円も利用していることになる。いまこれを書くために計算してみて、予想より大きな額で驚いた。これがすべて対面販売であったらわずらわしい。半分以下の消費になると思う。自販機の販売力と便利さを実感した。
いろいろな数字や事情が紹介されているこの本、私が面白いと思ったのは、自販機の原型とされる、17世紀に発明された「正直箱」。これはコインを入れると鍵があくので、中からタバコを取り出せる。ひとつ取ったら、買った人間が閉める。人間の良心にまかされた販売機である。
デジタルコンテンツやソフトウェアの自販機として、「正直箱」をネット上でやってみたらどうなるだろうか。ダウンロードしたら自己申告でお金は振り込んでください。今日のブログは100円です、とか。
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Posted by daiya at 2006年06月16日 23:59 | TrackBack