2006年04月23日
トゥルーデおばさん眠れぬ夜の奇妙な話
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諸星大二郎がグリム童話をおどろおどろしくリメイク。「赤ずきん」「ラプンツェル」「ブレーメンの楽隊」などのよく知られたお話が、初期設定は原作と同じなのに、いつのまにか、魑魅魍魎のうごめく諸星異界へ引きずりこまれていく。相変わらず諸星先生はすばらしい作品をつくる。
私は諸星大二郎の大ファンで思い入れは過去にこの記事で書いた。最近、映画(「奇談」)にもなった妖怪ハンターシリーズや暗黒神話シリーズがおすすめである。
・私の好きな漫画家たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000741.html
独特の世界観を持つ諸星作品、なかなか一般に受け入れてもらえないのだが、グリムというわかりやすいこの作品、新しいファンへの入り口になるかもしれないと思った。
ところで、絵本やアニメのグリム童話はこども向けにマイルドにアレンジされていることはよく知られている。原作は残酷で猟奇的な要素が含まれているのだ。そうした本当のグリム童話について解説した本も数多くあるので紹介。
■真実のグリム童話
原作をそのまま読みたい人のために。
倉橋 由美子著。
「超現実的なおとぎ話こそ、同情も感傷もない完全に理屈にあったもので、空想ではありません。そこにあるのは、因果応報、勧善懲悪、自業自得の原理が支配する残酷さだけです。この本は、ギリシア神話やアンデルセン童話、グリム童話、日本昔話などの、世界の名作童話の背後にひそむ人間のむきだしの悪意、邪悪な心、淫猥な欲望を、著者一流の毒を含んだ文体でえぐりだす創作童話集です。 」
「
人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。“こころの専門家”の目であのグリム童話を読むと……生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう1人の自分が、まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。
」
河合 隼雄著。
「
実母を処刑した白雪姫、魔法の力を借りなかったシンデレラ、2つの禁断の鍵を開けてしまった青髭の妃…。封印された真実の物語が今、ここに開かれる。
」
・大人もぞっとする初版『グリム童話』―ずっと隠されてきた残酷、性愛、狂気、戦慄の世界
「
これから寝かしつけようという幼い子どもに、手足を切断するような話など、とてもできない―。そんな批判を受けて改筆される以前の初版『グリム童話』では、残酷な刑罰、男女の性愛なども、あけっぴろげに語られていた。夢のように見えるおとぎ話の中に隠された残酷、狂気、不道徳の世界、そして、当時の人々のアクの強い知恵を、感じてほしい。 」
このほか、読んでいないので内容は保証できないが、こんなアダルト向きマンガもあるらしい。タイトルが気になる。なんなんだいったい。
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Posted by daiya at 2006年04月23日 23:59 | TrackBack
グリム童話について、「本当は残酷」とか童話における普遍的無意識の考察というのは良く聞きますがが、こんなのはいかがでしょうか?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847016440/qid=1145944436/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/249-9755028-8842769
グリム童話が徐々にアレンジされて現在のものになったという周囲の事実の捉え方の問題ですが、
○だったらオリジナルに復帰する
ではなく
○じゃあ自分たちも(一部の)現代人向けにアレンジする
という実験的思考がとても良いと思います。
Posted by: れくりす at 2006年04月25日 15:27