2006年02月05日
RSSマーケティング・ガイド 動き始めたWeb2.0
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メーラー、ブラウザにつぐ第3のツールとしてRSSリーダーが注目されている。マイクロソフトの次世代ブラウザ、OSでの採用も予定されており、今年から来年にかけて、いっきにユーザ数を増やすことは間違いない注目の技術である。
「RSSはビジネスとどういう関係があるのか?」。このテーマを、複数の専門家が各章を分担して一冊の本として最新の結論をまとめた。これまでRSSは技術論で語られることが多かったが、ビジネスマンが知りたいのは、それが利益や顧客にどのような影響を持つかということだろう。
著者の一人でRSSの広告ビジネスにいち早く取りんだ田中弦氏(RSS広告社社長)は、不動産ビジネスにたとえて新しい広告モデルの特徴をわかりやすく語っている。RSS広告とは以下の図のように、ブログやニュースサイトのRSSに、関連する広告を差し込むビジネスである。
・RSS広告(RSS広告社のサイトから図引用)
http://www.rssad.jp/
従来のネット広告は主にサイトのトップページへの読者誘導が目的であった。これに対して、RSSは個別記事への誘導を可能にする。「RSS広告はページ単位から記事単位へと土地を細切れにし、それぞれの価値を上げようとするものである」。だから「どこまでコンテンツを小さく区切って地上げすることができるか」というチャレンジだと書いている。
実際にRSS広告はどのように使われているのか。「「待ち」と「トレンド連動」」「集中と分散の両方に対応」というメリットや、周辺市場の未整備による現時点でのデメリットも率直に語られている。
たとえばRSS広告社の事例では、地震が起きると、ブログで地震についての記事が大量に書かれて、地震保険の広告の配信数が多くなった。トレンドというのは多様でこれがくる!とヤマの予想が難しいものだが、あらかじめ話題になりそうなRSS広告をいくつも仕込んでおくことによって、「ユーザの興味が最も喚起されたタイミングで的確にリーチできる」。検索連動型と違ってユーザが知らないキーワードにも対応できるので、新製品や突発的な事件、事故への広告効果が高いようだ。
目次は以下のような構成で、RSSとビジネスの接点を網羅的に語る。
chapter1:ネットビジネスに何が起こっているのか
1-1 「検索」「発信」「受信」の情報革命
1-2 ユーザーの情報消費が変わろうとしている
chapter2:RSSマーケティングの誕生
2-1 RSSのマーケティング利用が始まった
2-2 ますます増加するユーザーとの接点
2-3 マーケティングツールとしての3つの特徴
2-4 RSSマーケティングの実際
2-5 企業マーケティングはRSSでどう変わるのか
chapter3:RSS広告の特徴とその可能性
3-1 ネット広告はどう発展してきたのか
3-2 RSS広告市場の夜明け
3-3 RSS広告のメリット・デメリット
chapter4:RSSがウェブ検索に革命を起こす
4-1 RSSは検索を変えるのか
4-2 RSS検索エンジンが輝くとき
chapter5:口コミはRSSから起こる
5-1 インターネットの口コミ効果
5-2 口コミを促進させる次世代ウェブサービス
chapter6:ウェブサイトはRSSで変わる、変える
6-1 RSSの活用で企業サイトが変わる
6-2 RSSのアクセス解析
chapter7:RSSがメールを超えるとき
7-1 メールが抱えている問題点
7-2 RSSのアクセス解析
chapter8:モバイルRSSマーケティング
8-1 モバイルインターネット市場の現状
8-2 モバイルインターネットにおけるRSS
8-3 RSS普及にあたっての課題
8-4 携帯電話のメディアとしての特徴
8-5 モバイルインターネットにおけるRSSの実際
8-6 モバイルインターネットはRSSでどう変わるのか
chapter9:What is RSS, What is Web 2.0
9-1 Web 2.0とはいったい何なのか
9-2 RSSがWeb 2.0で果たす役割
9-3 Web 2.0はもう始まっている
9-4 Web 2.0で何が変わるのか
付録:主なRSSサービス
索引
まだビジネス事例が僅かな分野であるため、先行者による執筆のこの本で初めて明かされる知見が多い。理屈や予想だけではなく、数字をベースにした現時点での状況要約が大変参考になる。
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Posted by daiya at 2006年02月05日 23:59 | TrackBack