2006年01月30日

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・死にカタログ
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大人のための絵本。

これは死に方についてのカタログである。

著者はJT広告「大人たばこ養成講座」をてがけた人物。各所の喫煙コーナーにウィットに富んだ喫煙マナーの啓蒙イラストを描いた。少なくとも都内の喫煙者ならば大半がご存知のはず。

すべての人間にとって「いちばん未来の話」である死を、明るく真剣に考えてみよう、がテーマ。

1 死のカタチ
2 死のタイミング
3 死の場所
4 死の理由
5 死のものがたり

という構成で、絵とキャプションで、何百もの死のあり方を一コマ漫画風に描いている。
「それは「情報」ではない」の著者の仕事「Understanding USA」に手法は似ている部分もある。たくさんの参考書籍、統計データをベースに、多様な死のあり方をわかりやすく可視化した。

・それは「情報」ではない
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000510.html

・Understanding USA
http://www.understandingusa.com/

街の中ではどんな死があるか、どんな死に方が多いかを街の絵に織り込む。家の中の死のあり方の絵もある。日本人の死因は8200種類以上もあるそうだ。しかし、実際には80%の人間は病院で死を迎えている。

平均寿命ランキングのグラフがある。日本は1位である。抜粋してみる。

1位 日本 81.9歳
2位 スイス 80.6歳
3位 オーストラリア 80.4歳
5位 スウェーデン 80.4歳
5位 カナダ 79.8歳

20位 アメリカ 77.3歳

30位 韓国 75.5歳

90位 ロシア 64.8歳

100位 インド 61.0歳

120位 ケニア 50.9歳

149位 シエラレオネ 34.0歳


世界の最貧国シエラレオネでは乳児の死亡率が異様に高い。平均寿命の高さはだいたい経済的豊かさに比例する。世界のどこに生まれたかで、死への距離は決まってしまうと言えるだろう。その意味では日本は最も死から遠い国といえるかもしれない。

それでも現代日本人の死への関心は深いようだ。著者は面白い分析をしている。


日本の映画配給収入ランキング20位のなかで、人が死ぬ物語の比率を調べてみました。

「およそ9割」

子ども向け映画以外のほとんど全部です。さらに、その5割は、大量に人が死ぬのです。

「人が死なない国では物語のなかで人が死ぬ」

イランやインドの映画では人が死ぬ映画はここまで多くないのだとのこと。現実生活で死と直面することが少ない代わりに、物語でそれを体験し、考えようとしているのではないかと著者は考察している。

世界各国の宗教や神話の死生観を描いたイラスト集や、歴史上の有名人の生から死までの道のりを描いたイラスト集など、死のイラストばかりだが、ユーモラスな軽いタッチなので読みやすい。イラストの細部にも結構な情報量が織り込まれているので、考えさせられるページも多い。メメントモリな本である。

自分は何を終わり方の理想としているのだろう?と考えてみました。

すべてを成し遂げて家族に見守られながら一句、


願わくば 桜の下にて 春死なん その如月の 望月のころ

こんな辞世を詠んでさようならというのが理想、かなあ。

って、まだよくわかりませんね。この句も借り物ですしね。。。


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Posted by daiya at 2006年01月30日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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