2005年10月10日
逆風野郎 ダイソン成功物語
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とにかく強烈。面白い。
デザイン性の高い、紙パック不要の、サイクロン(遠心分離)掃除機で、革命的な大成功をおさめたイギリスの天才デザイナー ジェームズ・ダイソンの自伝。
「
変な話だけど、ダイソン・デュアルサイクロンはやっぱり僕の思った通りになった。最初からわかってたんだ。こうなるってことは。
」
あっさりした書き出しだが、それは、まったく平凡な道のりではなかった。
ダイソンは、たった一人で5126台の試作品を自宅の馬車置き場の部屋に閉じこもり開発した。苦闘の末、プロトタイプが完成するが、売り込み先の大手メーカーはほとんどが門前払い。その上、プレゼンしたデザインは盗用されまくる。契約先でも思うようには開発が進まない。ダイソンは借金と訴訟まみれになりながらも、革新的な掃除機を世に出すため、情熱的に自分の信念を貫き続ける。
成功までの20年間、ダイソンは常識や保守的な人々と徹底して戦い続ける。思うようにいかないと感情的に爆発する人のようだ。話の半分くらいは揉めごとのような気がした。
「
僕はこれまで狼狽させたり怒らせたりした多くの人から、不遜、無礼、強情、自己中心的とみなされてきた。いまになってみれば、自分は正しかったんだし、こうした欠点もたいしたことはないと思える。あるいは、それが「ビジョン」というものなのかもしれない。万事うまくいったときでないと、支配勢力からバカにされ続けても自分を貫いた男が「ビジョンを持っていた」と言われることはないんだろうね。
」
この本自体が訴訟のタネになるのではないかと思うくらい、辛辣に競合会社を担当者の実名入りで批判している。過激な発言と凄まじい行動力。破天荒な人生を自ら呼び込んでいる、まさに「逆風野郎」である。
2003年までにイギリスの4世帯に1世帯がダイソンの掃除機を所有するようになった。設立十年で会社は世界に一千万台を超える製品を送り出した。たった一人の発明家が保守的な家電業界に立ち向かい、市場に一大勢力を誕生させるまでの死闘。
思い込んだらどこまでもの一途さが世界を変えることがあるという事実に、励まされる。起業に興味のある人は必読。
・ダイソン株式会社:デュアルサイクロンクリーナーなどの開発、製造、販売
http://www.dyson.co.jp/
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Posted by daiya at 2005年10月10日 23:59 | TrackBack