2005年10月31日
相手に伝わる日本語を書く技術
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日本経済新聞社の記者が書いた文章の教科書。
主題の明確化から文章の構成論、文法論、陥りやすい間違い集など、基礎から正しい文章の書き方を教えている。句読点の打ち方や、複数の修飾語がある場合の係り受けの処理など、大人になると”いまさら聞けない”と考えがちな事項も丁寧に解説してくれる。
この本は書き方が教科書、参考書風なため、ここで過去に書評してきた文章読本のような楽しさはない。その代わり、解説が丁寧で網羅的なので、学習教材としてとてもよくできていると思った。毎日のように文章を書いていて、いつか改めて調べておきたいと思った事項が点検できた。
新聞記事やビジネス文書を書く際のガイドとして良書。
なるほどと思った部分をメモとして抜書き。
・文章の材料の出所
体験・観察(直接材料)
読書・聴取(間接材料)
思考(発展材料)
・中心文は段落の最後に配置すると書きやすい
「
ヨーロッパ語の文章では、中心文が段落の冒頭におかれることが80%近くある。これに対して日本語の文章の場合、主語と述語が密着しているヨーロッパ語とちがって、文の”幹”にあたる述語が文末にくる組み立てになっているため、中心文を段落の冒頭に置く、書き方をするにはかなりの努力がいる。中心文を段落の最後に置くほうが書きやすい。
」
・1センテンスの長さは42、3字が適当
第2次大戦中、アメリカ政府が心理学者、社会学者、言語学者を集めて、軍隊の指示として1センテンスの長さはどの程度が適切かを、調査させたそうだ。その結果、20語以内が理解しやすいという結論になった。日本語の文章心理学の研究成果では、一文が75文字を超えると読みにくく、42、3文字が最も読みやすいそうだ。これは具体的で参考になる数字だ。
・日本語では受動態を使わなくても文章が書ける。
基本的に日本語の発送は能動態であり、受動態は翻訳を介してヨーロッパ語の影響を受けた舶来品だそうである。
・以下はすべて間違い(このほかにも多数の事例が掲載されている)
知名度がない。利益がトントン。愛想をふりまく。いやがうえでも。押しも押されぬ。けんけんがくがく。古式豊かに。弁舌が立つ。怒り心頭に達した。白黒をつける。
関連書評:
・頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003740.html
・大人のための文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002489.html
・40字要約で仕事はどんどんうまくいく―1日15分で身につく習慣術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002286.html
・分かりやすい文章の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html
・人の心を動かす文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001400.html
・人生の物語を書きたいあなたへ −回想記・エッセイのための創作教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001383.html
・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html
・大人のための文章法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000957.html
・伝わる・揺さぶる!文章を書く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002952.html
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Posted by daiya at 2005年10月31日 23:59 | TrackBack