2005年08月31日
頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
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・頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
朝日新聞夕刊で毎日8年間、210文字のコラム「素粒子」を書き続けた元記者・論説委員による「短い」文章術。
■伝えるべきメッセージをつくる「短い文章」の技術
ただ短い文章を書けという技術論ではない。ほとんど人生論でもある。
考えるということは「短い文章」を作ることであるとし、頭の中で「短い文章」を作ることこそ、生きる営みの出発点なのだと著者は力説する。
基本は、伝える価値のあるメッセージを短く表現せよということである。
1 具体的な事柄を書く
2 感想や抽象的な記述は避ける
3 決まり文句、常套句は使わない
たとえば、
「昼食にカツドンを食べた。」
という文章をこう変えろと指導している。
「昼食にカツドンを食べた。二日連続である。」
ふたつめの文章を続けたことで、ニュース性やユーモア、意外性、若干の思想性などが加わって「伝えるべきメッセージ」になると教えている。その後が読んでみたくなる。
■文字数を決めて書く
「長さを先に決めることで文章が光る」という章では、新聞コラムと言う文字数の制約のある紙面で書き続けた著者のノウハウがさすがである。短歌や俳句も良いが、形式にとらわれない五行歌も練習に良いという。五行歌は初めて知った。
・「五行歌の会」公式ホームページ
http://5gyohka.com/
「
五行歌とは、日本のこれまでの詩型から、新しく考えられた自由で、書きやすく、また完成しやすい短い詩の形です。
日本人、和歌(五七五七七)ができるまえは、自由に短い詩を書いていました。それらを古代歌謡といいます。
というように、字数、音数にはまったくこだわらず、自分の呼吸に合わせて、いきいきとした詩歌をつくっていました。
それが、和歌になったのは、630年頃、先進文化国だった中国の整った漢詩を見たときでした。このために、日本人はみんなが1400年にもわたって、嬉しいときも、悲しいときも、楽しい時も、怒った時も、オルゴールのように一つのメロディを奏でてきました。
自由に書いたら、どうだろう。こう考えて、呼吸の切れ目がよくわかるように、五行に分けて書くようにしたのが、五行歌です。
」
五行歌の優秀例として、この本では、よみうり五行歌年間大賞 佐々木祈美さん作の歌が引用されていた。
「
だんだん畑に
水を運ぶ
老夫婦
耕して
天に至るか
」
字数が限られていることで、逆に表現力が豊かになるのが不思議だ。
■軽やかに手放せ
「
文章とは、主観を客観的に表現する手段なのである。喜ぶ、怒る、悲しむ、笑う、嘆く、呆然とする-----。広い意味での感動のすべてが、文章の出発点だ。
という意味で、新聞記者はつねに冷静でなければならないと、いうのはウソ。作家だって学者だって同じだ。素直に感動することができなくて、何が書けるというのか。
」
だが、感動したことを真正面から書こうとすると面白みがなくなる。
そこで、イギリスの演出家ピーター・ブルックの言葉を、著者は座右の銘として紹介している。
あらゆる道の極意にも思える深いことばだ。
「
きまじめになってはいけないぞ。死守せよ。だが軽やかに手放せ。
」
具体的には、与えられたテーマに対して3番目くらいにおもいつくことで書いてみよとアドバイスしている。
毎日、決められた時間内に、決められた文字数で、意味のある文章を書き続けるための工夫のあれこれがいっぱいある本であった。
関連書評:
・大人のための文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002489.html
・40字要約で仕事はどんどんうまくいく―1日15分で身につく習慣術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002286.html
・分かりやすい文章の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html
・人の心を動かす文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001400.html
・人生の物語を書きたいあなたへ −回想記・エッセイのための創作教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001383.html
・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html
・大人のための文章法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000957.html
・伝わる・揺さぶる!文章を書く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002952.html
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Posted by daiya at 2005年08月31日 23:59 | TrackBack