2005年07月12日

CIA 失敗の研究このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・CIA 失敗の研究
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CIAの予算や職員数は公開されていないが、年間40億ドル、2万人規模と推測されている。日本の最大の情報機関、防衛庁情報本部は1800人で予算が260億円と二桁の規模差がある。CIAの職員は長官や幹部レベル以外の名前は非公表、局内でもファーストネームで通す秘密主義の徹底振り。諜報機関でありながら、情報流通は悪いようだ。

情報システムも化石化している。


「化石」とまで酷評されたコンピュータシステムの近代化もすすまない。いまだにFBI捜査官は機密保持設定したメールを国土安全保障省に送ることができない。2005年はじめに「ニューズウィーク」が報じたところでは、前年末からハッカーに機密事項を含むメールを盗み見られていた疑いがあるという。

おまけに米国諜報機関にはターフとストーブパイプという隠語がある。ターフは縄張り争い、ストーブパイプは上司には報告を上げるが他の機関や部署には情報を伝えないことを意味する。CIAの中でも情報の壁があるし、FBIとはなおさら断絶がある。

こうした組織的な問題があって、9.11テロを防げなかった可能性が高いと結論されている。実際にはテロの情報は数年前から直前まで何度もキャッチしていた人物がCIA内にはいたようだ。その警告が無視されて、テロの実行を許してしまったと指摘する。

自分たちの出世の話ばかりしているCIA局員の実像や、潜入スパイの実際、大統領や政治との密接な関係、歴代長官の業績評価など、情報の少ないCIAについて綿密な取材や調査で実体を浮き彫りにしている。CIAやFBIに興味のある人は面白い本。

・情報と国家―収集・分析・評価の落とし穴
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002795.html


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Posted by daiya at 2005年07月12日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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