2005年07月03日

奇想、宇宙をゆく―最先端物理学12の物語このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・奇想、宇宙をゆく―最先端物理学12の物語
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私が高校生くらいの頃に思いついた奇想がひとつある。世の中に「因果関係」なんてひとつも存在しないのではないかというアイデア。

たとえば、

事象A コップを落とす
事象B コップが割れる

という二つの事象が連続して起きると、事象Aが原因で事象Bが結果の因果関係だといわれる。でも、コップを落としても割れないことがある。たまたま事象Aが起きた後に、Bが起きる確率が異常に高い相関関係を、因果関係と呼んでいるだけなのではないか?と思ったのだ。

コップの場合は割れない確率は結構高いだろう。だが、確率が1%なのか0が小数点以下何億も続くくらいの稀の確率なのかは私が言いたいことと関係がない。ただそれが確率の問題、ただの相関係数の問題だと考えられるのではないかということであり、まず間違いなくA→Bになる厳密な科学実験の内容でも同じことだ。

つまり、時間に対して連続して起きるすべての事象群は、偶然にバラバラに発生していて、そこには原因も結果もなく、作用も反作用もない。たまたま私たちは、A→B→C→D...という流れで分岐する可能性の世界のひとつを経験しているだけなのではないか、と考えてみたわけだ。

過去が現在に、現在が未来に影響を与えることがない世界。今考えるとこどもっぽいアナーキーな発想遊びに過ぎなかったのだけれど、確率をベースとする量子論ではそれほど奇想ともいえないことを知った。

そして、この本には無数のもっと強力な奇想が紹介されている。私の奇想などこの中では凡庸だ。

たとえば、過去が現在に影響を与えているだけでなく、同時に未来が現在に影響を与えているというマーク・ハッドリーの奇想がある。このアイデアによれば、過去と未来をつなぐロープが存在していて、両端がロープの中間に影響を与えて、なわとびのように、波を作り出す。

過去から情報が届くだけでなく、未来からも情報が届く。素粒子のレベルでいまだ解明できていない振る舞いを彼はこの理論で説明しようとし、「粒子はただ、出来事の知らせが届く前に、反応しているに過ぎないのである」とする。

また、私のアイデアのような”多世界モデル”では、無限の可能性の分岐した世界が存在してしまう。私たちが住む世界は膨大な数のそうではなかった世界を前提としている。宇宙がビッグバンで開闢し、地球ができて、生命が生まれ、進化し、人類が誕生する確率はほとんどありえないくらい小さい確率になる。何らかの調整が働いてきたのではないか、という奇想が生まれる。


一つは、宇宙が至高の存在である神の手で人類のためだけに生み出されたという解釈である。そしてもう一つは、宇宙が現在見られるような姿になっているのは、もしそうでなければ、そもそも人類など存在しているはずもなく、そんな事実が問題になることもなかったというものだ。

もしかすると、知的生命は進化を続けると宇宙自体を作り出すことができるようになり、我々の宇宙は造られたものの一つなのではないかという奇想もある。

さらに地球外生命体の作り出したものは、既に宇宙にあふれているが、人類の知識が圧倒的に不足していて、それと認識できないだけではないかとする人もいる。現在のシリコンチップを何千年分風化させ、19世紀の科学者に分析させたら、人工物と思わずに、シリコンという元素と金のような重金属を含むものと思ってしまうかもしれない。100年間で科学がこれだけ進んでいるのだから、何百万年も進化した知的生命体の創造物は、どのようなものであるかもわからないはずだという。地球や人類が作られたものであってもおかしくはないわけだ。

なお、現在の学会の主流派の説は、宇宙は実は10次元で、私たちには4次元分(X,Y,Z軸+時間)が見えている。見えない6次元分は極小の空間に折りたたまれているというもの。一般人にとっては、十分、主流派の考え方も奇想であると思った。

・広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003540.html

・科学者は妄想する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003473.html

・ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002797.html

・フィールド 響き合う生命・意識・宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002668.html

・私・今・そして神―開闢の哲学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002660.html

・トンデモ科学の見破りかた −もしかしたら本当かもしれない9つの奇説
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001621.html

・物理学と神
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001503.html


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Posted by daiya at 2005年07月03日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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