2005年06月16日

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・会議はモメたほうがいい
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一味違う会議ノウハウ本。

ダラダラ続いて結局何も決まらないダメ会議。日本の古い村社会の寄り合い文化を受け継ぐこのやり方は、欧米流効率重視の考え方では無意味に思えるが、実は「納得によるコミュニケーション」を重視した日本の会社風土に適応したノウハウなのだというユニークな分析がまず提示される。

伝統的な農家の村落共同体では、田に水を流すにせよ、稲刈りするにせよ、構成員全員の意見の一致が必要で、多数決では決められない。だから、会議では、「納得とまではいかないけれどまあしかたがないか」的了解に全員が達するまでダラダラする。

「ダラダラ続くダメ会議は、日本人に備わっていた気質が生み出した、構成員全員に仕事について納得させるための場だったのです」と著者は効用を肯定する。つまり、会議は結論を出す場ではなく、納得を作る場だという考え方。ダラダラ会議は誰かリーダーが結論を決めてしまうのではなく、ひとつの文章を共同で作り上げる共創プロセスであると高く評価される。

そしてダラダラ会議にも効用はあるのだから、それを否定するのではなく、「ダメ会議に利用されている人」から「ダメ会議を利用する人」になることが日本の会社社会で出世して、幸福に過ごす近道なのだと、会議での立ち回りの方法論を説く。

具体的には、

(1)会議では1年黙っていること
(2)「自分は納得できない」と発言し続けること
(3)たったひとりを納得させればいいこと

という3つの戦術が詳しく解説されている。

この本の内容はこれまでの会議マネジメントの本と180度違うので、かなり衝撃を受けたが、実際、こういうダラダラ会議はなくならない以上、その土壌の上でどう振舞うかを戦略的に考えてみるというのは、個の視点としては有益だなと感じた。

無論、いくら日本的寄り合いといってもことなかれ主義に徹していては出世は望めない。だから、この本のノウハウは、孤立することなく、周囲に受容される異議申し立ての方法論が主体となっている。「それは違うと思う」をどう言い出すかのメソッドである。そうすることで全員が納得し、会議後の団結と実行効率が高くなる。

まあ、ダラダラ会議がいくら長いとはいえ半日や1日だろう。その後のプロセスがきちんと動くようであれば、ダメ会議も価値があるということか。

日本の共同体の意思決定方法をめぐり多様な考察がある。会議論というより日本文化論になっている。最近、人気の「すごいやり方」、「すごい会議」の対極にある独特な一冊。
・すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003427.html

・すごいやり方
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001597.html

・会議が絶対うまくいく法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000203.html


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Posted by daiya at 2005年06月16日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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Comments

橋本さん、こんにちは。

>(1)会議では1年黙っていること

これが強烈でした。たしかに・・・。私は昨年初めて図書館協議会委員に委嘱されて燃えてしまって(^^)、1年目なのに発言しまくりでした。
橋本さんのブログを読んで思い当たることがいっぱい。。。

>(3)たったひとりを納得させればいいこと
も、納得です。

『すごいやり方』、『すごい会議』を今読み始めていますが、この『会議はモメたほうがいい』も読んでみます(汗)

Posted by: KYOKO at 2005年06月21日 15:53
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