2005年05月31日
起業バカ
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中小企業白書によると日本全国で起業したい人は130万人でサラリーマンの40人に1人。何らかの準備をしている人が60万人〜70万人で、実際に起業する人は年間18万人。これらの起業家の中で株式上場というゴールにたどりつけるのは1580人に1人であると著者の計算が紹介されている。企業の設立と倒産状況を見ると、1980年代以降は設立より倒産のほうが数が多い。数字上はベンチャー起業はギャンブルに近いことになる。
学生時代からベンチャー起業をしている身からすると、この本に書かれている現実の厳しさは「当たり前じゃん」なのだが、ブームに乗ってそうした前提を知らずに起業してしまうと痛い目にあう。この本にはその痛い事例が多数収録されている。経営の勘違いによる失敗、出資詐欺、あやしいブローカーの暗躍、乗っ取り、フランチャイズ本部の半端ではない搾取ぶり、銀行の貸し剥がし事例など、どれも生々しく悲惨な現実が描かれる。
2007年から団塊の世代800万人のうち680万人が退職を迎える。退職金で経営者としての第2の人生を夢見て起業するシニアベンチャーが大量発生する可能性があるようだ。「リストラ脱藩」と「エリート脱藩」も増えており、起業時の平均年齢も2002年が41.4歳で年々高くなっている。
こうした層が特に危ないと著者は警告している。
脱サラ起業家がかかりやすい病として、次の3つがあるという。
・会社病
在籍していた会社の信用を自分の信用と勘違いする
出身会社や業界の常識をビジネスの常識と勘違いする
・新聞病
新聞や雑誌に書かれている記事を鵜呑みにする
・依存病
権威や組織に依存した心理のままである
この病気のタイプが選びやすいのが、コンビニ、弁当屋などの本部のあるフランチャイズビジネス。彼らは、すべてお膳立てしてくれる本部の指示に従えば、開業後に見込みどおりの儲けが出ると信じて投資する。だが、実際には開業時の投資の大半は本部の儲けであり、その後どうなろうと本部は気にしない。儲かればさらにロイヤリティが入ってくるし、失敗して経営者がすぐに閉店すれば、途中解約の違約金を請求できる。
フランチャイズオーナーは、単にビジネスリスクを負わされているだけなのだ。儲かったとしても通常のビジネス感覚ではリスクの対価としてはあまりにも高額なコミッションを抜かれてしまう。この本では上納金100万円、経営者の月給8万円というひどい実例もあった。大手有名フランチャイズでも、こうした状況はあるらしい。フランチャイズをやるならフランチャイズ本部そのものを創業するのが賢いと思った。
基本は知識なしにベンチャーを創業するのは危険だという論調の本だが、起業そのものの可能性や面白さは否定していない。著者自身の痛い失敗も書かれているが、いまも起業に魅力は感じているらしい。
ベンチャー創業はゼロからビジネスをすることだが、ノウハウがゼロからであるとまずいのだと思う。今なら、学生時代にスタートアップベンチャーでインターンとして働く体験をするのが良いだろうなあと思った。会社員生活の後にベンチャーをやるのではなく、ベンチャーを体験した後に、会社員になった方が、自分の適性も分かる。
・実践型インターンシップ・起業支援 NPO法人ETIC.(エティック)
http://www.etic.or.jp/
ここは大学時代の友人らが経営しているインターンシップ運営団体。設立当初の最初のホームページは私が手でHTMLを書いてお手伝いしたのでした。実績豊富。おすすめ。
・優秀起業プランに3000万円出資のネットビジネスコンテスト
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003405.html
・成功前夜 21の起業ストーリー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003020.html
・ 起業人 成功するには理由がある
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000712.html
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Posted by daiya at 2005年05月31日 23:59 | TrackBack