2005年04月14日
夢と欲望のコスメ戦争
スポンサード リンク
海外出張すると妻に免税店で香水をおみやげに買ってくるように頼まれる。ただそれだけが私とコスメの接点である。香水はコスメなのか?。いや、それさえもよく知らない。違うかな。そういうレベルの平均的な男性の私でも、化粧品業界がよくわかった。
まず「化粧品の分類と使用手順の一例」というフローチャートがとても勉強になった。人生ではじめて女性の化粧プロセスを知った。
このチャートを要約してみると...。
クレンジングでメイクを落とし、洗顔料で肌の汚れを落とす。化粧水で肌に水分を補いキメを整えたら、乳液、クリームで油分を補い乾燥を防ぐ。そして美容液、パックで美白・しわ対策をしたら日焼け止めで紫外線から肌を守る。ここまでが基礎(スキンケア)化粧品。本来の化粧であるメイクアップはこの後に始まる。
下地クリームで化粧のりをよくし、コンシーラーでシミ・ソバカスを隠す。ファウンデーション、パウダーで肌を明るく美しくする。マスカラ、アイライナー、アイシャドー、アイブローで目元を印象付ける。口紅、リップグロスで口元を彩り、艶を与える。チークで顔を立体的に血色よく見せる。ハイライトでもさらに顔を立体化する。
これで一例なのだから大変だ。化粧品の名前がこれだけでも大量に登場している。ひとつひとつに競合関係にある会社とブランド、商品ラインナップがある。市場規模は2兆円程度で、自動車市場の41兆円、外食市場の25兆円、アパレル市場の10兆円と比較すると小さいマーケットであるにも関わらず、激しいマーケティング競争が繰り広げられている。
国内化粧品市場の売り上げトップ10はこの本によると、以下のとおり。
1位 資生堂 3476億円
2位 カネボウ 1948億円
3位 コーセー 1206億円
4位 花王 776億円
5位 マックスファクター 550億円
6位 DHC 510億円
7位 ポーラ化粧品本舗 450億円
8位 ノエビア
9位 ファンケル
10位 日本メナード化粧品
大手メーカーは複数のブランドを持つ。資生堂は「ザ・ギンザコスメティックス」という高級ブランドで、40グラム10万円という超高級クリームを販売している。資生堂が運営するザ・ギンザで年間1200万円以上のアパレル商品を購入する層がメインターゲットだそうだ。それが決して少なくない数売れているという。
6位のDHCといえば化粧品と言うよりは、2ちゃんねるに損害賠償を訴えている会社と言うのが私の手持ち知識だった。もともとは大学翻訳センターの略で翻訳業務の会社として始まったらしい。100円ショップで化粧品を売るなど安い価格のコスメで大成功をおさめている。
10万円以上から100円まで価格の幅が広いコスメだが、中身の原価は5〜10%程度である上に、価格が10倍違えば原価も10倍違うかと言うとどうやらそんなことはないらしい。価格は原材料費や必要経費の積み上げで決めるのではなく、ブランドイメージ戦略によって決められていることが暴露されていた。化粧で男性を化かす女性も、化粧品には化かされているのだ。
一流百貨店の入り口フロアは化粧品フロアであることが多い。日本で化粧品売り上げトップの伊勢丹新宿店では年間100億円以上を売り上げる。百貨店経営にとってはドル箱、化粧品メーカーにとってはなんとしても確保したい一等地だそうだ。で、あるが故に百貨店は一流海外ブランドを好条件で誘致したり、メーカに対しては競合店舗への出店に圧力をかけたりしているという。イメージ戦略上大切な外資系の売り場費用は70〜80%が百貨店持ちで、国内メーカーはメーカー持ちという格差もあるらしい。
あの売り場で働くお姉さんたちはデパートの人なの?メーカーの人なの?と以前から気になっていたのだが、大抵はメーカーから派遣される美容部員であるという。長時間の立ち仕事で厳しいノルマのプレッシャーがかかる割に、新入社員の年収は200万円レベル。本人の希望と関係なく転勤させられてしまう。楽な仕事ではないらしい。美容部員というのは基本的にその月のメーカーが販売強化したい推奨商品であるそうで、それをいかにお客様のために選んだかのように「コンサルティング」するのが、美容部員のノウハウ。ああ、ここでも化かしあいが、ある。
知らないことばかりで大変、勉強になった本だった。
美白、ナチュラル、機能性化粧品、CM戦略、販売戦略、業界裏事情などコスメについて幅広く説明している。この分野をよく知らない私のような一般的男性が概要を把握するのにうってつけの内容だと思う。ビジネスの会議で「コスメ」というキーワードが出てきたときに、間抜けな発言をしなくて済む。
スポンサード リンク
Posted by daiya at 2005年04月14日 23:59 | TrackBack
橋本 様
質問です。
下司な小生などは香水には「性誘引剤」が使われていると思っているのですが、ご紹介本に記述はないのでしょうか?
そこのところが知りたいもので・・・。
化粧品の本が紹介されるなんてビックリです!
改めてこのサイト眺めてみるとまたまた面白いかと♪