2005年01月11日

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日本経済新聞は信用できるか
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300万部を誇る日本最大の経済メディア日本経済新聞を、無責任な煽りメディアとして批判する本。著者は「エコノミストは信用できるか」を書いた東谷暁氏。

最近約10年の日経の記事を多数引用しながら、その主張の一貫性のなさや、マッチポンプ式の無節操な煽り行動を明らかにする。政府の金融政策や、構造改革、経済外交について、始める時には賞賛していながら、政策が失敗に終わると掌を返したように批判にまわる。自社の社説がかつては逆の意見を主張していたことには一切触れない。そうした事例がこれでもかとばかりに引用される。

この本のそうした引用を読むと日経的言説とはどういうものなのか、みえてくる。それはだいたい以下のようなものである。

・日本=遅れている
・世界(アメリカ、アジア、中国)=進んでいる
・進んでいるアメリカを見習え
・前政権の政策は間違いではなかったが失敗だった
・2000年代の日本の飛躍はIT革命次第だ
・やがて中国経済が日本を飲み込む
・日本的経営からアメリカ型コーポレートガバナンスへ

著者によると日経がよく使う「日本、消費者、アメリカの三段論法」というのがあるのだという。それは、

1 消費者にとってよいことは日本にとってもよい
2 アメリカが望むことは日本の消費者も望む
3 だからアメリカが望むことは、日本にとってもよい

という論理。

こうした論理を使って、日経はブームを作り出す。

著者は手厳しく日経の”尻軽さ”を責める。

「こうして見てくると、日本経済新聞はほとんど独自の見解をもっていないだけでなく、そのとき流行のテーマを煽っているだけに過ぎないのではないかとの疑念を起こさせる」
「さまざまな「ブーム」について日本経済新聞は新しい意味を見出そうとし、これでもかと思えるほどの分量のリポートを掲載して読者の関心を引き付け、<中略>、その反面、「ブーム」が孕む脆弱性や矛盾にかんしては、十分にリポートし分析してきたとはいえない」

「日本経済新聞社の各紙が「アメリカ」あるいは「世界」を模範として何かを論じ始めたら、いちおう疑ってみるべきなのである」

「ほかでもない、日本経済新聞が奇妙なのは、こうした最も重大な経済マスコミとしての責任問題に触れることなく、「みんなが」とか「ほとんどの人が」と述べて一般大衆と自らを同じ平面に置き、報道を専門としていたはずの自社の責任を、何食わぬ顔で回避してしまっていることなのである」

日経らしさをうまくとらえて批判しているのがこの本の面白さであるが、著者の批判を日経が受け入れてもつまらないなと思う。日経がここまで人気なのはその「らしさ」のせいだろう。いきなり硬派な腰の重い新聞になられても、商売の種をみつけたい経営者には不評だろう。間違ったからといって、頻繁に自己批判する良心的だけれど弱気な新聞なんて読みたいだろうか?。私は興味がない。

それは私があまり新聞に期待していないせいかもしれない。経済の複雑な仕組みを正確に予想することなど誰にもできないのだから、競馬新聞と同じだと考えている。新聞には、最低限、今日あるレースと出走馬のデータが正確に掲載されていれば満足で、残りは下馬評であるが景気よく書いていてもいいのではないか。もともと新聞というものは江戸の瓦版発祥であって、素性が高級なものではなかったはずだ。新聞を公の器で正しいものという思い込み、社会人は読んでいて当然であるかのような神話はそろそろ崩れてもいいはず。

うーん、態度を変えるべきは日経でなく、読者の私たちのほうなのではないか。

情報ソースが多様化し、分析ツールもたくさん手に入るインターネット時代、

「そろそろ(日刊全国)新聞も卒業だね」

というスタンスが良い気がする。

#ところでライブドアが「東京経済新聞」の商標を取得したらしいですね。
# ライブドアステーション:「東京経済新聞」登録商標取得
# http://blog.livedoor.jp/kipon/archives/12174377.html
#うーん、東京経済新聞は信用できるのか?


・日本経済新聞のトリビア
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000180.html

・日本経済新聞社の歩み
http://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/guidej/enkaku.html


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Posted by daiya at 2005年01月11日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
Daiya Hashimoto. Get yours at bighugelabs.com/flickr
Comments

同感してしまいますね。それにしても、ここ最近の渡辺淳一の連載には疑問を感じますよ。毎朝300万人の人があんな小説を読む国って、他には絶対にないと思うのですが...。

Posted by: kenny at 2005年01月12日 10:10

私も激しく同意です。マスメディアは疑ってかからないと、と思ったりしてます。

Posted by: nobotora at 2005年01月12日 10:28

日経新聞だけを絶対評価しても仕方がない。四大紙の比較をしたら、日経は我国のマスコミの中ではまだマシな方でしょう。新聞は発行部数を増やそうとする限り、紙面のレベルを上げるのではなく、読者迎合的記事をかくでしょう。

「態度を変えるべきは読者」に同感です。
米国、イギリス、ドイツ、中国等各紙のヘッドラインを集めたサイトがあればいいのですが・・・。

Posted by: ユリウス at 2005年01月12日 12:18

>商売の種をみつけたい経営者
どれだけいるのか甚だ疑わしいものですね。
実際、もうすぐ辞める勤め先の上層部は日経に自社の製品がランキング一位になったことを手放しで喜び
そのせいで1年かけてじっくり売るつもりで作った製品がたった1ヶ月で完売したことの異常さに注意を払おうとはしません。マスコミを利用するつもりがマスコミのペースに乗せられている事に気が付かない彼らを見て私は苦笑いをするしかないとは言いつつ
私も気をつけてはいるのですがつい日経のスタンスに自分を合わせてしまいそうになります。それは読者が経営者であろうがCMでターゲットにしているような20代のサラリーマンであろうと気をつけなければならないことで日経のノリに乗せられて
転職=かっこいいキャリアアップなどと思わない様に注意しないといけません。

今の日本にきちんとしたジャーナリズムなどあるのでしょうか?
いったい日々の暮らしに役立つ情報や正しい世界情勢を私たちはどこから入手すべきなんでしょうか?
時々途方に暮れます

Posted by: 飛鳥井 誠一 at 2005年01月12日 22:52

>米国、イギリス、ドイツ、中国等各紙のヘッドラインを集めたサイトがあればいいのですが・・・。

GoogleNewsを活用されてはいかがですか?

Posted by: ひろ at 2005年01月14日 00:36

日経にはある程度の落ち着きは持って欲しいと思う、日経まで本当に競馬新聞になってしまったら日本の経済の教養は消滅し、非常識な詐欺まがい商法がもてはやされ、常識的な話などできない環境になってしまうかもしれない

Posted by: i at 2005年01月14日 20:00

日経はエロ爺こと渡辺淳一にエロ小説を連載させている。日経のエロ社長が毎日読むために始めたらしい。購読者で読んでいる者がはたしているのか。

Posted by: bloc at 2005年06月14日 10:11
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