2004年12月07日
へんないきもの
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ベストセラー。これは生物マニアなだけでなく発想のトレーニング本、もしくは癒し系としても使える本。単純におもしろい。
実在するへんな生き物を見開きで、左に解説、右にイラストで解説していく本。自然の造形とは思えない奇怪な深海魚や、自然淘汰で本当に生まれたとは信じがたい機械のような機能を持った生物のオンパレード。
150度の高熱にも絶対零度にも耐えられ、乾燥や真空状態や6000気圧という極限化でも生き延びることができるなど無駄に生命力の強いクマムシ。不治の皮膚病に罹った皮膚を執刀、瀉血、治療する3チームが分担して、80%の確率で治療してしまうドクターフィッシュの群れ。鉄の鎧で武装する貝。水底の砂にU字型のトンネルを掘り、トンネルの管と一体化してしまう内臓だけのような形状のツバサゴカイ。精巧な工芸品のような籠を作り、その中にエビのツガイ(幼少時に籠に入るため一生出られない)を住まわすカイロウドウケツ。テレビ番組「どうぶつ不思議発見」の不思議のいいところだけ20年分抽出しましたとでもいわんかのような、不思議いきものの充実度。
どうしてこんなに変なのか?お前ら何なんだと、いきものにツッコミを入れる形式の、た笑いのつぼをついた斜めからの解説文も最後まで読者を飽きさせない。リアルに描きこまれたイラストをぼうっと眺めていると、世界にはへんな生き物がへんな生き方でのんびり、もしくは激しく生きているんだなあと、へんな癒されかたをする。これは基本は、癒し本なのだと思う。
こうしたへんな生き物はここ数年のトレンドトピックのようだ。古くは「ワンダフルライフ」がある。現在の進化とは断絶した何億年前の奇妙な化石生物たちの研究本。5つ目の生物なんてのがこの地球にいた。
昨年あたりからブレイクしているのが人類絶滅後の生物進化を科学的にシミュレーションして未来の野生生物の生態を想像し、コンピュータグラフィックスで再現した「フューチャー・イズ・ワイルド」「アフターマン」。
実在しない空想生物の研究書を真面目に書いた「鼻行類」「平行植物」。このふたつは何の根拠もないはずなのだが、「へんないきもの」を読むと、これくらいいてもおかしくないかもと思えてくる。現実は小説より奇なりである。
・平行植物
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Posted by daiya at 2004年12月07日 23:59 | TrackBack