2004年08月17日
霊はあるか―科学の視点から
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科学者の立場から、霊の存在について議論する本。著者は、立命館大学教授。
・安齋研究室TOP
http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~iat02143/
上記オフィシャルサイトで経歴を確認すると、
東京大学医学部放射線健康管理学教室助手、中央大学商学部兼任講師、東京医科大学病院管理学教室客員助教授などを経て、1986年、立命館大学経済学部教授、1988年より立命館大学国際関係学部教授、現在に至る。担当科目は、平和学、自然科学概論、3・4回生ゼミ、地球環境問題特講(大学院)、大学院ゼミ(平和学)など。役職は、立命館評議員、大学協議会委員、国際平和センター長、国際平和ミュージアム館長。
現在、Japan Skeptics会長、日本平和学会理事、日本学術会議平和問題研究連絡委員会委員。世界大会平和博物館ネットワーク国際調整委員。原爆忌全国俳句大会実行委員長。原水爆禁止世界大会起草委員長。
といたって真面目な研究者なのだが、個人で、疑似科学批判団体JAPAN SKEPTICSを主宰し、科学合理主義の啓蒙をしていることでも有名な人物。
仏教各宗派に「霊はあるか」のアンケートを行った結果は興味深い。結果は割れた。大半の宗派は霊の存在を完全否定し、祟りや霊障もないとしている。霊がないから本当は墓参り、お盆など必要ないのである。だが、布教の方便として霊を認める団体がかなりある。難解な仏教哲学は一般人に説いてもわかりにくいから、霊を方便として教義を説明することはかまわないというスタンスである。
「○○はある」と存在を証明するには一例を証明すればよいが、「○○はない」を証明するには、多数の例を否定しなければならない、として、霊の肯定派、否定派の立場によって、立論のコストの違いを指摘しているのは面白い。
第3章と第5章で著者の霊はあるかへの答えが書かれている。ネタバレになるので引用しないが、基本的には、科学合理主義者の答えである。この本では、多数の超常現象や霊体験を、科学的に解明し、嘘や作為を見破っていく。
面白かったのは科学的な輪廻転生の話。人間の身体は主に炭素が構成していて、その数はアヴォガドロ数(原子量と同じグラム数の原子に含まれる原子の個数)に従う。アヴォガドロ数は6の1千億の1兆倍なので、それ掛ける体重のグラム数程度の炭素で人間は構成されている。人が死んで火葬されると、炭素は大気にいきわたる。地球の大気に満遍なく広がった場合には、どの場所で採取しても、1リットルの大気の中に1万数千個のその人の炭素が含まれることになるという。つまり、人間を構成している物質レベルで生まれ変わり、輪廻転生ということは起きているというのである。
そうか、人は死ぬとユビキタスマンになるということか。著者いわく、そういうレベルでは輪廻転生的な考え方も必ずしも間違っていないとする。
私は霊は、あるともないとも言えるのではないかと思っている。あるの意味=存在の解釈が立場によって異なる気がする。
たまたま科学合理主義が多数を占める社会に生まれたから、私たちは霊が見えないのではないか。構成員が霊の存在を信じている社会では、霊は姿を現し、暮らしに影響を与えるものなのだと思っている。自然科学は常に事象を外側から眺める。客観視する。だが、人間は常に事象の内側で生きている。自然科学的には存在しなくても、社会的には存在するモノはありえる。存在は自然科学の専売特許ではないと思うのだ。
ところで私、超常現象大好きである。この5年間くらい毎月雑誌の「ムー」は欠かさず購読している。
・学研 雑誌ムー
http://www.gakken.co.jp/mu/books.html
25周年。
・Mangaムー
http://www.gakken.co.jp/mu/books/mangamu/manmu.html
もちろん、ムーの話を真に受けるわけはなくて、突拍子もない話にどう真実味を持たせるかの文章技法を学ぶため、であり、空想力(妄想力)の限界を楽しむため、に読んでいる。
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Posted by daiya at 2004年08月17日 23:59 | TrackBack