2004年04月13日
セミナーで出会った韓国ITベンチャー起業家たち
スポンサード リンク
日韓学生アントレプレナーの会議が無事終わりました。
韓国と日本の精鋭学生起業家が集まって、お互いのビジネスを話し合う国際会議@早稲田大学国際会議場。
私は情報通信部会の座長を仰せつかったのですが、この部会が最大人数の大所帯。4時間はあっという間に過ぎました。今回は事務局からの要望で英語でなく、お互いが母国語で話してくださいとのこと。逐次通訳者を介してのコミュニケーション。この方式はコミュニケーションに2倍以上の時間がかかる。でも、言いたいことを言えるし、分かりやすい。参加者も長丁場で大変でしたが、何よりも技術用語飛び交う内容で、4時間ふたつの言語を双方向に訳してしゃべり続けた通訳の女性に感謝。あなたが一番すごかった。
フリーディスカッションで意見交換をしながら感じたのは、韓国メンバーは皆、
・IT技術では日本を既に追い越しているという前提意識
・日本はまだブロードバンドじゃないんでしょう?
と考えていそうだったこと。日本のITベンチャーとしては、ムムムと思うところもあるのだけれど、彼らの話を聞いていると本当にそうかもしれないと思い始める。韓国の学生生活へのネットの浸透ぶりは日本とは比較にならないようだ。海の向こうでは、空気のようにネットワークがあるのだなと思った。ハイ、生活への浸透度では白旗を掲げましょう。
彼らがまだ学生が多かったのもあるけれど、ネットのビジネス利用という点ではまだ日本が進んでいる面もあるようだが、うかうかしていると追い抜かれそう。私たちも頑張らないといけないなと思った次第。競争と共創の関係になるといいです。
通訳がいない2次会以降は英語、韓国語、日本語のチャンポンで盛り上がりました。終電近くで帰宅。仲良くなった韓国のみなさんは写真をメールするからね、とのことで楽しみにしています。
参加者は多数でしたが、時間の関係上、あらかじめ選ばれた起業家たちが10分程度のプレゼンを順番に行いました。
■プレゼンした韓国の精鋭ベンチャーたち
・YETOO.com
http://www.yetoo.com/
映画やCD、演劇など文化芸術に対するオンライン投資サイト。作り手と予約購入者をオンラインで募集し、集まった予約資金でコンテンツを制作する。そのコンテンツが大ヒットすれば儲けを投資家に配分する。この分野は日本では失敗例もあったりするけれど、もう少し仕掛けが洗練されれば、十分ありえるビジネスモデルだと思う。元本割れリスクをどう扱うかが課題。
・Bram
http://www.callbaram.com/
マウスの左右のボタンを同時にクリックすることで、選択中の文字列を検索エンジンで検索するWindowsアプリケーション。RSSリーダー機能なども搭載している。将来はP2P機能も加えたいとのこと。「デュアルクリック」はいいアイデアだし便利。でも、どうやって収益化するかが課題と思う。Leeさんのプレゼンは話し方も文書の作りこみも一番上手。丁寧。
・NE Media
http://www.nemedia.co.kr/
携帯電話ゲーム制作。韓国の携帯電話上で、Brewベースで動くストリートファイター風のゲームを見せてもらった。私も日本のiアプリを見せてあげたら大喜びされた。ゲームも面白かったけど、社長のparkさんと、かなり意気投合。抜群の社交性とバイタリティを持つ彼なら成功するかも。
・Archispace
http://da2003.digital-architecture.or.kr/archispace/
感性認識を活用した感性パターンの色彩視覚化。簡単に言えば、音楽を色彩パターンに変換するソフトウェアの開発。特許技術を保有。人間の感性とメロディを脳科学などの成果をもとに音階と紐づけた、らしい。らしいというのは、来日したプレゼンターはデザイナーで、「理論はウチの先生がやられてます」とのこと。理論部にツッコミ多数。謎も多いが、商業空間での音楽(BGM)と同期する色彩照明は美しかった。
・L2IMALL
3D仮想空間でのショッピングを実現するためのミドルウェア。韓国の大きなECサイトでの採用が決まっているらしい。どうやら皆の話を聞く限り、マルチメディアや3Dに対する一般ユーザの抵抗感は韓国の方がずっと低い。日本ではちょっとビジネス的には難しそうに思うのだけれど、韓国ではいけるのかもしれません。サービス開始に期待しましょう。
■プレゼンした日本のベンチャー
日本側の起業家は、私がこの会社はスゴイと思った友人でもある3社の社長に、お声をかけさせていただきました。皆さんお忙しい中、参加いただいて本当に感謝です。日本側の社長は、学生が多かった韓国側と比べると年齢は少し上で、億単位のビジネスをされている点でも少し先をゆく方々です。
・コミュニティエンジン
http://www.ce-lab.net/ja/
頭の回転速度が異常に速くて圧倒される社長の中嶋さんは、カジュアルな感じで登場。簡潔ながら、分かりやすいプレゼンで、開発中のオンラインゲーム「Gumonji」の魅力のさわりを話されました。スクエア・エニックスから出資を受けて法人設立後、ひたすらの開発。現在水面下で着々と作っている彼らの新しいコンセプト作品が、近いうちに表舞台で踊るのは確実。注目。
・みんなの就職活動日記
http://www.nikki.ne.jp
日本最大級の新卒就職情報交換コミュニティ。新卒の人数は50万人程度と言われるが、ここには30万人以上の登録があると言う。先日、古巣の楽天に買収されたばかり。次に打つ一手のベータサービスや、データマイニングサービスの概要など、ここに書いていいのか分からないビジネスの裏側までお話いただきました。社長の伊藤さんは大学の後輩ですが、いつの間にか私は経営者として抜かれてました。今度は、私にそのビジネス手腕を教えてください。
・KBMJ
http://www.121r.com/
日本側3人のうちで最も経営者らしい経営者の社長の木村さん。若い学生が多かった今回の会議に本物のビジネスの話が注入されてムードが引き締まります。感性ナビゲーションシステムの説明は、言葉で説明すると難しそうだけど、木村さんはどうされるんだろうと思っていたら、杞憂でした。韓国側参加者をひとり指名しての実演ショウ形式で展開されて、極めて効果的なプレゼン内容。理論を言葉で説明しなくても、あれなら全員分かりました。さすがと思いました。
その後はアルコールも入っての2次会、3次会。団長熱い。
参加者のホテルの部屋にお邪魔しての交流会で「韓国ではアバターチャットが大流行なんでしょう?」と聞いたら「そんなのはもうやってるひといないけどね」あれれ?。「韓国でも検索はGoogleですか、やはり?」という質問には「Naverの方が有名、次がYAHOO!かなあ」とのこと。おお、違う。「(名詞など見ながら)韓国の方ってインスタントメッセンジャーはMSNが多いですね。YAHOO!メッセンジャーとかICQとかは使わないの?」「っていうか、それはなんだ?メッセンジャーはMSNだろう?」
本当に話してみないと分からないことってありますね。
スポンサード リンク
Posted by daiya at 2004年04月13日 23:59 | TrackBack
2次会だけでも参加したかったです。
MSNメッセンジャーは韓国語も通るし僕も向こうの友人との連絡、おしゃべり、勉強に使わせてもらっています。
さまざまな日韓翻訳チャットサービスも続々登場しているので、両国の新進ベンチャーが協力しあって面白いことができたらいいですね。
なんとも面白いレポートです。お疲れさまでした。
ところで、韓国がブロードバンドというかインターネット先進国である理由の一つとして、既存メディアがいろいろと規制されているためと聞きました。そんな話はありましたか?
文化面での規制に関して言えば、
「日本のアニメはP2Pで放映2時間後に手に入るぜ HeHe」
みたいな事を言っていました。
>shn
昨日はおつかれさまですた。が、それは言っちゃだめでしょ(笑)。でも、まあ日韓学生はそんなかんじですねえ。P2Pはこよなく愛されているようではありました。
ソーシャルネットワーキングは誰もorkutを知らず、コンセプトを説明したら「そういうのは前からあるよね」的で、あまり興味を持ってもらえませんでした。
Posted by: daiya at 2004年04月14日 18:55韓国はグローバルアドレスです。日本はNATを使ってダイナミックを振ることが多いのですが、人口の差もあるようですが、グローバルアドレス。ゲームからチャットまで、余計な設定なしに使えます。
そのためスラマーでは一発アウトだったわけですが。。
グローバルアドレスゆえに匿名感が日本とは少し違うようですが、それだけネットインフラ社会なんだろうと思いますね。
この間のIETFは韓国ソウルでした。半分は韓国人だったような。。。
なるほど!
グローバルアドレスが影響している説は説得力がある発見ですねえ。勉強になりました。確かにオンラインゲームやビデオ双方向会議などの普及とグローバルアドレスは関係が深そうです。
Posted by: daiya at 2004年04月16日 02:31