2004年01月06日
Ucmore、ReadOne、クエリーフリー
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■関連テーマとページを提案するUcmore
最近デスクトップで便利に使っているツールにUcmoreがある。海外を中心に1000万人以上のユーザがいる人気ソフト。ブラウザーのプラグイン(追加機能)ソフトとして無料で使える。このソフトには、検索アクセラレーターというキャッチコピーがつけられている。現在検索しているキーワード、あるいは、見ているサイトのテーマに関連する、ページを教えてくれる機能がある。
・Ucmore
http://www.ucmore.com/
例えば、Googleで「iraq」を検索してイラク問題について調べようとする。すると、ブラウザーのツールバー上に、上記のスクリーンショットのような表示が出てくる。イラク紛争や反戦運動、国際政治や、ニュース報道といった関連ディレクトリにまとめられたリンク集が提案される仕組みだ。検索時以外に、普通にページを見ている際にも、関連テーマやページの所在を教えてくれる。
このソフトが私にとって役立つのは次の3つの点かなと思っている。
1 少しずれたテーマの関連サイトを発見できる
例えば米国の書店のAmazon.comを訪問すると、UcmoreはBarnes and Norbleのような競合サイトを幾つか教えてくれるだけでなく、「中古書店」「レアモノ書店」「書評サイト」などのリンク集も提案してくれる。特に詳しくないテーマの調べ物では重宝する。
2 用語解説的に使えて便利
例えば「MP3」というキーワードについて調べたいとする。「ダウンロード」「ストリーミング」「リンクリスト」といった、関連テーマのサイト一覧がワンクリックで表示できる。リストを眺めればなんとなくMP3が音楽ファイルの一形式だと推測できる。
3 ブックマークが充実する
提案されるリンク集をワンクリックですべて、自分のブラウザーにブックマーク登録できる。後で見たいなというときに複数のページをブックマークする手間が省ける。リンクを友人にメールで送る機能もある。
同種の関連ページ提案ソフトにはAlexaツールバーがある。リスト化されているサイト数ではAlexaの方が圧倒的に多そうだが、Ucmoreはテーマ名で整理された代表的なサイトのリストを教えてくれるので使いやすく感じている。
・Alexa
http://www.alexa.com/
なお残念ながら日本語にはまだ対応していない。日本語で似たジャンルのものにはReadOneがある。
■ReadOne
・ReadOne
http://www.readone.net/
昨年の忘年会議にもきて頂いた慶応大学の開発チームによるニュース情報の提案ソフトウェア。ブラウザのツールバーとしても使えるし、最近Web版もリリースされた。
1 ニュースサイトを登録しておく
2 最新ニュース一覧が表示される
3 関心のあるニュースをクリックして読む
4 ユーザの興味をニュースに使われるキーワードから学習する
5 学習データからオススメを提案してくれる
という人工知能的なアプローチで、使えば使うほどユーザの関心に近いものが提案される。RSSという形式でメタデータを公開しているニュースであれば簡単に登録できる。いわゆるブログサイトの大半で使うことができる。
■クエリーフリーという概念
Ucmore、ReadOneに共通しているのは、検索語を入力することなく、関連情報が提案表示されることである。この概念は、海外の研究では、「クエリーフリー」と呼んでいる。最近興味深く読んだ論文には以下のものがある。
Query-Free News Search
http://www2003.org/cdrom/papers/refereed/p707/p707-henzinger.html
テレビ放送のキャプションデータに連動して、放送中の番組内容に関連するWebサイトを提案する仕組みの研究。ここでは、幾つかの提案アルゴリズムを実装して、どれが有効かを考えている。
・Query-free Information Retrieval
http://rii.ricoh.com/~jamey/fixit/fixit.html
こちらでは、プリンターなどの保守マニュアルの文章データベースにクエリーフリー検索を実装した研究。発生した障害に対応するFAQ情報を、キーワード検索することなく見つけることができ、サポート業務を軽減できる(かもしれない)話。
■クエリーフリーの応用範囲を考える
クエリーフリーという概念は今年流行するかもしれないと考えているキーワードのひとつである。例えば、テレビやラジオと連動したもの、携帯の位置情報サービスと連動したものがすぐに思い浮かぶ。
1 テレビ、ラジオのクエリーフリー
例えば海外では、テレビとラジオ対応のメディアモニタリングサービスがある。
・TVeyes
http://www.tveyes.com
テレビ放送をサーバが24時間監視し、音声認識で放送内容をテキスト化している。ユーザが予め登録したキーワードを、テレビの登場人物が発話すると、メールでユーザに教えてくれる。ラジオ版のRadioEarsもある。
2 会議のクエリーフリー
音声という点では、会議に使っても便利だろう。会議での発言内容に応じた関連サイトがリアルタイムにプロジェクターに表示されれば、ブレインストーミングやリサーチ支援ツールとして機能するだろう。現在の音声認識は同一人物の声を聞き取るのは特異だが、複数の話者の声を認識するのが苦手な傾向があるが、技術課題がクリアになれば有望な応用になると思う。
3 携帯、位置情報のクエリーフリー
今の携帯電話の例えばi-modeは少し不便である。今目の前にあるレストランの情報を調べるのに、いちいち検索しなければならない。open-iareaという簡易位置情報サービスも検索行為を求められる。これでは不便である。
GPSなどの高精度位置情報サービスと連動して、24時間常にユーザ付近の店舗を検索し続けてクエリーフリーになると良いはずだ。店の前に立ち止まった時に携帯を見るだけで必要な情報は既に表示されていることになる。これこそユビキタスという気がする。パケット代や電源容量の問題をクリアできれば、そのうち出てきそうなサービスだ。
キーワード入力もクリックもなしに、ユーザが求めているものをそっと教えてくれるクエリーフリーは素敵。エージェントサービスの基本要素と言えるかもしれない。
他にどんな応用が考えられるだろうか?
関連URL:
・@DATASECTION メールを使ったクエリーフリー
http://www.datasection.com/index.php?page=atds
私の会社は既にメール連動のクエリーフリーサーチを実現するサーバを販売しています(宣伝)。
・毎日のニュースチェックツールに求めるもの
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000634.html
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Posted by daiya at 2004年01月06日 08:28
橋本さん、お久しぶりです。
早速UcmoreとReadOneを使ってみました。Ucmoreは海外での観光地情報を検索するのに結構役に立ちそうです(^^)
自分のブロードバンドホテルサイトで英語版を作ろうと思っているのですが、これに載ると結構面白そうな予感がします。
Posted by: 森本繁生 at 2004年01月08日 12:09UCmoreはスパイウェアだと思うンだが
人に進めるのはどうかと思うぜ