2003年12月21日
スケベ心で巨富を築く技術?テストステロンコンピューティング
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先日こんな本を読んだ。巨富である。巨富。
評価:★★☆☆☆
■英雄は色を好むのか
なぜこのベタな本を読んだかの経緯は、過去の記事から察して頂くとして、内容は結構、真面目に楽しめた。ビジネスと人生で成功し巨富を築くための13の条件が列挙されているが、(もちろん)、気になったのは、その一要素に「性衝動」があり、一章を割り振られていたことだ。
「第十章 人類の本能を創造的なものに転換する」によると、まず、過去2千年の歴史や自伝を調べた結果、以下の事実が判明したという。
1 偉大な事業を成し遂げた人は、高度に発達した性本能の持ち主であり、性衝動の転換方法を体得した人である。
2 巨富を蓄積した人、文学、芸術、産業、技術、その他専門分野において顕著な業績を残した人は、いずれも異性の影響力によって成し得たものである。
また、あるインストラクターは3万人のセールスパースン教育を担当してきたが、性本能に関心の高い人ほど有能であるという事実を発見した、という。
恐らくは男性ホルモンのテストステロンの分泌量と、社会的な行動の活発さには相関があるであろう。活動的な人が現世的な意味で確率的に成功しやすいこと、異性の注目を浴びやすいことの関係も推測はできる。
米国の心理学者James M. Dabbs博士は、長年の調査から、成功する経営者や政治家のテストステロン分泌量が高いことをWebサイトでも報告している。
・James M. Dabbs博士のサイト
http://www.gsu.edu/~psyjmd/
このテストステロンパワーはオンラインでもアダルトサイトに集約されているはずだ。残念ながら、膨大な量の、巨富を築けるはずのエネルギーが無駄に消費されてしまっていることになる。だが、この性衝動のエネルギーをビジネスや技術に活用するアイデアを考えた若者がいる。
それは、まったく無関係のように見えるゲームの話から始まる。
■超能力ゲームで遊ぶと検索エンジンの精度が高まる
・ESP Game
http://www.espgame.org/
このサイトは、ESPつまり超能力を試すオンラインゲームサイトである。ゲームを開始すると、ランダムにWeb上の画像を提示される。その画像から連想される言葉を参加者は入力する。
このゲームには、同時にログインしている対戦相手がいる。相手と同じ連想語を入力できればゲームで得点でき、次の画像提示へ進める。制約がひとつある。タブーワードとして表示される言葉は入力できないのだ。
例えば何もない白い部屋の画像が提示されているとき、タブーワードは「White」「Room」であったりする。プレイヤーは他の言葉で連想でき、且つ対戦相手も思い浮かべそうな言葉を考えないといけない。例えば「Clean(クリーン)」「vacant(空き室)」「Clapton(ロックアーティストEric ClaptonにIn the white roomという有名な楽曲がある)」などが良いだろう。相手と一致すれば次の画像が提示され、時間内にどのくらい当てられるかを競う。
さて、こうしたゲームを遊ばせた主催者は、膨大な画像とその連想語データベースを手にすることができる。画像を見たときに、他人が思い浮かべそうな言葉ばかりのリストは、連想語として非常に質の高いものであるはずだ。このデータは、精度の高い画像検索サービスのデータとして利用していくことができる。ユーザが検索する際に、「White Room」でも「Clean」、「Vacant」、「Clapton」と入力しても白い部屋の画像を検索できる。
ユーザが超能力ゲームを面白がって遊ぶ。結果として、どこかの画像検索エンジンの精度が高まっているのだ。風が吹くと桶屋が儲かる原理に似ている。
■ポルノサイトに集まるテストステロン・パワーでスーパーコンピュータに
このアイデアを考えたのは、カーネギーメロン大学の24歳の若い研究者である。彼は次のWebページで、インタビューに答えている。
・CMU student taps brain's game skills
http://www.post-gazette.com/pg/03278/228349.stm
ここで彼は、もし1日平均5000人がESPゲームで遊ぶなら、Google画像検索で検索される4億2500万の画像に1つずつのキーワードをつけることができる。半年あれば画像ひとつに6つのキーワードをつけることも可能だ、と述べている。
この記事では更なるアイデアが発案されている。オンラインのコンテンツ保護技術のCaptchaと組み合わせることで、さらにこの仕組みを発展させたるのではないか?という提案だ。
・Captcha
http://www.captcha.net/
Captchaは、画像を使ったセキュリティ技術の一種である。ログインが必要なサービスに、犯罪者やスパム業者などのソフトウェアロボットが自動ログインできないように、ユーザに画像に書かれている文字列の入力を求める。こんなふうに画像をゆがめる。
例えば、同種の技術を採用しているドメイン管理組織のベリサインでは、他人のドメイン名の登録情報を調べようとすると、以下のような画像に書かれたのと同じ文字列の入力を求められる。ベリサインは人間にだけ情報を開示したいのだ。
この歪曲された文字の画像はソフトウェアは読み取ることが出来ないが、人間は容易に読み取ることができる。
しかし、もしアダルトサイトが「ポルノ画像をもっと見たいなら、この画像に書かれた文字列を入力してください」とユーザに提案したらどうなるだろうか。膨大なアダルトサイトのユーザたちが、完璧な答えを即座に入力してしまうだろう。このセキュリティは破られ、業者は内部の情報を収集することができてしまう。
つまり、この方法を使えば、オンラインのテストステロンを使って、「人間の認知能力では簡単にできるが、コンピュータには難しいこと」を、大量に処理する人間の分散コンピューティングができるということだ。
この方法を巧妙に駆使することができれば、冒頭の本のように「高度に発達した性本能の持ち主」でなくても「偉大な事業を成し遂げ」「巨富を蓄積」することが可能なのかもしれない。
(まあ私は発達してるから問題ないですけどね<何が?)
参考URL:
・Kinsey
http://www.indiana.edu/~kinsey/index.html
セックスとジェンダーの研究で著名なキンゼイレポートの発行機関。赤裸々な統計が。英語だから会社で読んでもばれないかも。
・20万人がネット・ポルノ中毒
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Culture/story/20000907205.html
・日本のセックスIndex
http://www.enoplan.jp/sexindex/
性関連 ニュース&トピックス
・バーチャルなセックス、リアルな楽しさ
http://www.hotwired.co.jp/news/news/1427.html
・セックスとテクノロジーがテーマのブログ・ベンチャー『フレッシュボット』
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20031119204.html
米ニールセン・ネットレイティングスの調査によると9月中、およそ3200万人の米国人――米国のインターネット・ユーザーの24%にあたる――がポルノ系のサイトを訪れた
・Nakednews
http://www.nakednews.com/
男女のアナウンサーがニュースを読みながら脱いでいく...。有料コンテンツだがデモが見られる。ユーザがニュースをレイティングしたりコメントしたりするとアナウンサーが脱ぐとしたら、このサイトも面白いデータ収集ができるかもしれない。
・以前に書いた関連記事:好き嫌い好き嫌い好き?
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000345.html
・エログリッドコンピューティング
http://blog.bulknews.net/mt/archives/000518.html
今日の記事はこの記事を膨らませて解説してみたもの。
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Posted by daiya at 2003年12月21日 23:59 | TrackBack
もしアダルトサイトがESPゲームを導入して「ポルノ画像をもっと見たいなら、この画像から連想する文字列を入力してください」とユーザに提案すると、画像検索エンジンの性能は飛躍的に向上し、キーワードをつける人間は瞬く間に増えるのだろう。と思いました。
I'm supposed to go see that too....LOTR that is....we'll see if I see it. I'm also supposed to see Mona Lisa Smile. Hmmmm. Maybe I'll actually see some movies this holiday season..GASP!/>
:)