2003年12月09日

瞬間情報処理の心理学―人が二秒間でできることこのエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・瞬間情報処理の心理学―人が二秒間でできること
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とにかくコンセプトがユニークで類書がほとんどない、気がする。

この本を読むとこんなことが、一杯分かる。コメントしながら、考えを広げる参考URLも探してつけてみた。

■私の発見:新幹線の電光掲示板は6文字、2.5秒の裏づけ

人間が2秒以内で処理できること=瞬間情報処理について、12人の認知心理学研究者たちが、各専門の観点から書き下ろした小論集。第一部では理論、第二部では日常生活に役立てるコツをまとめていく。

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例えばこれは私が最近撮影した2枚の写真である。東京駅八重洲口にある大きな電光掲示板と、東海道新幹線のぞみ号内の電光掲示板だ。東京駅のほうは分からないが、のぞみの電光掲示板は横6文字。左端に出た文字が右端へ消えるまでに2.5秒程度かかっていた。こういった掲示板の文字数や流れる速度は科学できるのだろうか。東京ー名古屋間で随分悩んでしまった。

この本によると電光掲示板は、大抵は日本語は7〜8文字、アルファベットならその倍の量が2秒で処理されるように設計されているという。それが人間の平均的な視覚探索能力であるという。

・RSVPにおける眼球運動についての一研究
http://www.sahf.cc/human/thesis/2-11.htm
都内の電光掲示板を調べまくり。文字数や速度の調査結果は?

・RSVPにおける適切な速度と適切なスパンに関する一研究
http://www.sahf.cc/human/thesis/2-8.htm
電光掲示板で読みやすい文章について研究

■息が合う、間

彼や彼女と「息が合う」などというが、実際に計測してみると、対話の相手、歌の歌い手と聴衆の呼吸は同調することが分かっている、という。発声と発声の間の間(マ)が、その呼吸の同調を作り出す。人間の聴覚はは100ミリ秒という瞬間をも認識できる。そのため、その微妙の間のおかしな合成音声と本当の声を聞き分けてしまう。

ちょっと手元のプログラムを使ってこのコラム関連のもうひとつの記事を音声ファイル化してみた。

ダウンロード(MP3ファイル)

やっぱり、機械と分かってしまうと思う。逆に、この間の研究と合成の精度が高まると、人間なのか機械なのか分からない音声が作れるということでもある。

・Naunce
http://www.nuance.com/
最先端の音声合成ソフトウェア企業。デモで音声合成の対話例を聞く事ができるが、機械合成とは区別がつかないくらい、活き活きとしている。

・Microsoft Research Asia、感情表現豊かな音声認識で次世代サービス開発中
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/11/28/18.html
「MSRAの研究では、読み上げる文章を感情的にも分析し、エキサイティングなスポーツニュースなら興奮気味に、重大な犯罪事件のニュースならトーンを落としてといった、よりナチュラルな音声の実現が目標とされている」とのこと。

・Microsoft The Speech Technology
http://research.microsoft.com/stg/default.aspx

■正確なキーボードタイピング

キー押しの間隔は熟練者で平均190ミリ秒。素人で300ミリ秒。正確度は1文章内に5-10文字程度のミスがある場合が多いが、意外なことに熟練者と素人の差は大きくはないのだそうだ。しかし、どちらもマイペースでの入力のため入力速度と正確さのトレードオフ相関は存在する。つまり、普段は間違えてまで早く打とうとしないが、慌てるとミスがでるということ。

・キータイピング練習 e-Typing 腕試しレベルチェック
http://www.e-typing.ne.jp/index.asp?mode=levelcheck
さあ、どうぞ!歴代トップは700点台...。
私もやりました。208pt、B+。45秒58.正誤率97.1秒。「あと一歩で上級者ですよ」とのこと。みなさんも試してコメント欄にでも報告してください。

■読みやすい文章

日本語文書は一般的には、漢字が25%〜45%。かなが45%〜65%、残りがカタカナ、数字、記号。読みやすい文章を作るには、漢字使用率を30%程度にしつつも、大事な用語は図として認識できる漢字で書く、句読点はなどの科学が紹介されている。速い読み手は。眼球運動が最適化されていて、1行を165〜170ミリ秒で認識し、1分間に1200字を読むことができる。

・キャプションと来館者 −展示メディアにおける文字情報の評価−
博物館展覧会調査研究センター
http://www.museum.or.jp/IM/report/pdf/MD51-45.pdf
博物館の展示の解説の文章はどうあるべきか、文字量、配置、配色など。世界の博物館の経験から学べる。Web制作でも参考になるはず。

・ネットなんぱマニュアル>E-Mail基礎編>5.国語のオベンキョ?文章の印象を考える5-2) 硬派文とナンパ文
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/netn/e-mail_kiso/kiso_5.02.htm
「優しい丸い雰囲気を醸し出したければ、「ひらがな」を多く。知的に見せたければ「漢字」を大目に。ちょっとあか抜けた捻った雰囲気を醸し出したければ、「カタカナ」を上手に織り交ぜると良いでしょう。」など異性接触に最適化。実例多数。


このほか、野球のバッターが本当にボールの縫い目が見えている可能性や、自動車運転時の一瞬の情報判断を最適化するための科学的ノウハウなど、著者が多いだけに盛りだくさんの内容となっている。著者の数が多いこともあり、全体として、ひとつの方向性には収束しないのだが、瞬間でできることのバリエーションを知ることは、情報やインタフェースのデザインに効果的につなげていくことができそうだ。


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Posted by daiya at 2003年12月09日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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Comments

こんにちは。e-typingやってみました。
スコア308pt レベルGreat!! WPM313.25 正誤率99.45%
順位は705位でした。ちょっと速いほうなのかな。
ネットなんぱマニュアル面白いですねー。ではでは。

Posted by: zerobase at 2003年12月10日 14:45