2003年12月03日
・Google Hacks―プロが使うテクニック&ツール100選
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・Google Hacks―プロが使うテクニック&ツール100選
私の会社は技術の会社なので、オフィスの本棚には、数えたことがないが、100〜200冊くらいの技術書が並んでいる。自宅にも押入れに大量に技術の本がある。普通の本と違って、リファレンス的に使うため、通読するような書籍は少ない。これは数少ない最初から最後まで読んでしまった本であり、間違いなく、私の、2003年度、技術書ベスト1である。2位を大きく引き離している。
■ググる人々56.1%
「ググる」という言葉が一部で流行するほど、Googleで検索することは、ネット利用者にとって一般的なことになった。検索エンジンにおける利用シェアは、調査会社のOneStatによると、以下のような率になっている。インターネット上の検索は過半数がGoogle経由で行われており、2位のYAHOO!をダブルスコアで引き離している。
・Google No. 1 search site in the world according to OneStat.com
http://www.onestat.com/html/aboutus_pressbox25.html
EXCELでグラフ化してみると一目瞭然。
Googleが人気があるのは、PageRankと呼ばれる計算方法で決定される、検索結果が、ユーザの理想に近いことにある。PageRankは、以下のふたつの主なルールで計算する。
1 外部のページからのリンクの数が多いページは重要なページとみなす
2 重要なページからリンクされているページも重要度が加算される
このアルゴリズムの強み、弱み、発展性が「PageRankアルゴリズムの内部」などの章に詳しい。Googleや検索エンジンの進化の方向性が垣間見えたりもする。
ちなみにGoogleツールバーをインストールすれば、一般ユーザも表示中のPageRankを確認することができる。PageRankは10段階で高いほど良い。私のこのサイトは開始3ヶ月目、この記事執筆時点ではPageRank4で上昇傾向にある。このランクが高いほど検索順位で早く出てくるわけだ。
で、このPageRankをどうやったら上げられるか、たくさんの人を検索エンジンから呼び込むにはどうしたらよいかの解説の章がまず参考になる。
・「1日に1万5千人の訪問者を得るための26のステップ」
1年で1日1万5千ページビューを自然に達成する方法を主に技術視点から述べている。本当にそれ正しいのかって?。うーん、こういう本(アクセスを増やすホームページ革命術:現在絶版)を過去に書いた私が言うのだから信じてください。このやり方は正しい。まっとうなコンテンツを作る気があるのならば、そのとおりになるはずと納得した。
■Googleの応用事例が盛りだくさん
無数のGoogleの応用例が解説されている。Googleは一般ユーザにGoogleデータベースのプログラミングインタフェース(API)を公開しているため、主にその実装の話が多い。基本部分のソースコードサンプルが、かなり紹介されているのでプログラマにはたまらない。
たとえばほんの一部を紹介すると以下のような感じだ。
・TouchGraph Google Browser
http://www.touchgraph.com/TGGoogleBrowser.html
Googleの検索結果をネットワーク地図として表示するアプリケーション。
・GoogleSmackdown
http://www.onfocus.com/googlesmack/down.asp
キーワードをふたつ入れると検索結果数を並べて比較できる。例えばtokyo (5,960,000件)とosaka (1,780,000件)、tomorrow (6,680,000件)とyesterday (6,310,000件)、love (52,000,000件)とmoney (43,100,000件)なんてことが分かる。(愛が勝ってよかった。)。
・Googleシェア
http://ed.suppose.co.uk/googleshare.php
Googleを使ってマインドシェア(○○度)を調べる。例えば、ringo starとPaul McCartonyの、それぞれのThe beatles度を調べることができる。今試したらringoが34.21%、McCartonyが41.18%である。
・Googleミラー
http://www.alltooflat.com/geeky/elgoog/
Googleの検索結果を左右ひっくり返す...。一見の価値あり。
■実践編 メール・de・Google
この本を入手する前にGoogleAPIが米国で発表された頃、私もいたずらでアプリケーションをひとつ作っている。今確認したらまだ動作しているのでご紹介したい。
名づけて、「メール・de・Google」。メールのサブジェクト(題名)部分に検索したいキーワードを入れた本文は空のメールを、サービス用のメールアドレスへ送ると、検索結果がメールで返信される、というもの。
この本でも、メール経由でのGoogle検索システムの例が紹介されているが、コードは示されていなかった。昔、こういうサービスのメール連携部分を開発した経験があるので、数時間で開発は完了した。
使い方は簡単である。
以下のメールアドレスへサブジェクトにキーワードを書いて送るだけ。(osanpo.netはプライベートな開発サーバ)
まだGoogleAPIが日本語対応していない時期に独自の日本語対応処理をしていたので、日本語がたまに文字化けする模様。そこは商品じゃないので見逃していただきたい。英単語がおすすめ。時間がとれらた年末にでも修正予定。
■エンジニアの遊びのプラットフォームとしてのGoogleHack
私は、ふだんは営業とコンサルの仕事ばかりなので、エンジニアとしては落ちこぼれなのだが、こうやって新しい技術で遊ぶことで、新しい技術やサービスの発明につながることってあるのではないか、と思う。
私がとても尊敬する遊ぶエンジニアのサイトにhirax.netのできるかな?がある。技術を使ってひたすら遊んだ結果を公開している。文章力の高さもあるのだけれど抜群に面白い。
・できるかな?
http://www.hirax.net/#dekirukana-day
例えば、画像解析の基礎知識を使って、企業サイトとアダルトサイトの色分布を分析して、やはりアダルトはピンクっぽいのか?とか、肌の色の違いを実データで検証してみせたり、
・9人の女神はピンク映画の夢を見るか?- WEBの画像の色分布を調べよう
http://www.hirax.net/dekirukana4/mosaic3/index.html
あるいは、Web上の文体からノリノリの意味を調べたり、
・WEBページの文体を調べてみよう- 「ノリノリ文体」の秘密!? -
http://www.hirax.net/dekirukana4/style/index.html
はたまた、音声の波形から関西弁を分析してみたり、
・みんなで一緒に「なんでやねん。」- 関西弁の音声学 第一回 -
http://www.hirax.net/dekirukana3/kansai/index.html
なんてことをして遊ばれている。コードやプログラムを開示されることも多く、読者も使って遊ぶことができるようになっている。このサイトの記事を読んでいると、意外な発見や実用に結びつきそうなテーマが多くて、遊びに終わらない可能性を感じる。
だが、普通はテーマや遊び方を見つけるのが難しいものだ。Googleとこの本はエンジニアが遊ぶには格好のプラットフォームである。技術の会社はエンジニア全員にクリスマスプレゼントとして贈ってみてはどうだろうか。来年すごい効果があったりして。
■Webマーケティング担当者や経営者にもおすすめ
この本はエンジニアだけが読んでいては勿体無い。確かに半分はGoogleAPIを使ったプログラミングの話題であるが、Googleを使ってアクセス数を増やしたいWebマーケターや、新ビジネスを発想したい経営者にもお薦めできる。
日付や特定サイト以下だけを検索する方法などTipsや、「株を調査する:Googleクエリーを巧妙に使って従来の株価情報サービス以上の情報を収集」などという一般向けの章も随分、あるからだ。
今、実は私のところにもGoogle関連の書籍共同執筆のお話をいただいている。とても楽しそうなプロジェクトなので乗ることにした。来年の書店をお楽しみに!。
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Posted by daiya at 2003年12月03日 23:59 | TrackBack