2003年11月24日

フォント考、印象の良さ、強さ、周辺ビジネスこのエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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■印象が強く、良いイメージを与える文字とは?

編集・出版業界以外のビジネスマンにとって、フォントは予めPCに入っているものを使うという意識が強いと思う。プレゼンテーションや、印刷時に、どのフォントにしようかな?と迷うくらいのつきあいのものだ。フォント自体の表現力について普段は詳しく考えないことが多い。字は人を表すともいうから、そこには何か科学があるんだろうなと思っていた。

そこを研究している認知心理学の論文があった。図形や文字のパターンには、視覚をひきつけるエネルギーの誘導場が存在していることが、認知心理学の分野で証明されているとのこと。

・視覚の誘導場
http://www13.0038.net/~nagaishi/
・視覚の誘導場による感性評価
http://www13.0038.net/~nagaishi/cog2003.pdf

このひきつけるエネルギーは、実験結果から、この概念図のように、文字の内側が一番エネルギーが強く、外側へ行くほど弱くなる、そうだ。

myfonts02.JPG

↑(a)がここでいう誘導場

この実験の感性評価では、図形と文字の「パターンの良さ」「印象の強さ」が計測された。ここでは、誘導場の形状が円形に近いほど「良い」印象を与え、パターン全体の潜在エネルギーが多いほど「強い」印象を与えると考えられている。

図形ではこんな説明がある。


交通標識でよく使われる正方形と円のポテンシャルエネルギ−が大きい.正三角形のポテンシャルエネルギ−は,正方形や円ほど大きくないが,複雑度が非常に大きい.したがって,正三角形は図形としての印象はやや弱いが,「良さ」は低く背景との違いが目立つと推測される.実際,正三角形は注意や警告を発する交通標識に使われている

一方,正方形や円は,ポテンシャルエネルギ−が大きいので図形の印象は強いが,複雑度が小さく図形の良さが高い.実際,速度や方向など数字や矢印などで細かな情報を伝える交通標識に使われている

この論文は文字について結論していないが、私の理解では、整っていて、すっきりした筆跡が、印象が良く、強い文字であるということになりそうだ。ということは、フォントの工夫によって、目に留まりやすかったり、書いてある文章が好意的に受け取られる可能性があるわけだ。

フォントの研究というと、見易さの研究が多いけれど、好き嫌い、目立つ、説得力がある、信用できるなどの感性と結びつけて考えるのは面白い。応用すると、

・愛の告白フォント
・謝罪フォント
・イベント呼びかけフォント
・威圧クレームフォント
・ごますりフォント

など、適性のあるフォントを用意して、メールの本文に応じて自動的に最適なフォントが選ばれるメールソフト、なんてできたら、買う人いないだろうか。

■自筆のフォントをつくる

自筆フォントを作成してくれるビジネスやソフトウェアがある。テクノアドバンスのMyFontは、指定された用紙に200文字程度の文字を書いて郵送すると、その筆跡パターンから4000文字分のフォントを合成して、PCで使えるフォントファイルを作成してくれる。納期1ヶ月程度で29800円。なお、メールやWebの利用なら、相手が同じフォントを持っていなくても自動ダウンロードさせるWebFonts技術も採用されている。

イーストのおれん字はパッケージソフトで、自分で200文字程度の文字を用紙に書いてOCRで読み込むと、自宅で6524文字を合成できる。9800円。

3つ目の手書きフォントメーカーは、既存のフォントを読み込んで手を加えることができるフォントエディタ。フリーソフト。

・自筆フォントMyFont(テクノアドバンス)
http://www.techno-advance.co.jp/

・おれん字(イースト)
http://www.est.co.jp/orenji/index.html

・自分流フォントを作るときの道具「手書きフォントメーカー」
http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/11/05/dogubako106.html

活用例としてこれは良いなと感動したのが、兵庫県のとある小学校の6年生全員の自筆フォントを作成した「ぼくらのフォント」プロジェクトだ。子どもたちに1200字の文字を書かせて、それを印章を扱う会社が手でフォント化したとのこと。このクラスの子供同士のコミュニケーションは、メールに自分の色が出せて、きっと楽しいだろうな。

・クラス全員フォント化計画「ぼくらのフォント」
http://www.hakusyu.com/bokura/index.html

ここからは関連リンクの紹介。

■高級なフォントと書体ビジネスの世界、リンク集

・大日本スクリーン 千都フォントライブラリー
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/products/pr_TrueType.html

高級フォントの代名詞であるらしいヒラギノフォントの販売会社。見てみると結構普通ですね。高いからって字体が高級感があるわけではないのだなと結論。

でも、高いフォントはもっとあるらしい。

・クリエイターズ・フォント「有矢無哉」金6万円也
http://www.windam.co.jp/ariya-nashiya/index.asp
・有矢無哉の筆文字フォント「大和撫子」金6万円也
http://www.windam.co.jp/product/jbox/index.asp

2003年10月販売開始予定。第一水準3600文字に対応。とのこと。ぜひクリックして見てください。素晴らしい日本の筆致。こんなフォントでお礼や挨拶を書いたら、気が引き締まりますね。

・今昔文字鏡
http://www.mojikyo.org/html/index.html

収録文字数は約12万字で日本最大のフォント。諸橋轍次著『大漢和辞典』(大修館書店刊)に収録される約5万の見出し漢字がすべて収録。価格 28000円也。

・フォント千夜一夜物語
http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?storyID=1476
・書体と文字のWebMagazine
http://www.jiyu-kobo.co.jp/mm/mojimaga.html

「フォント千夜一夜物語」はフォントとそのビジネスの世界について、エキスパートが語っているコラム集。フォントの発祥や戦争、技術の進歩や作成のノウハウについて、読み応えのある記事が並ぶ。書体と文字のWebMagazineには書体の大家の昔話。

■こんなフォントもある、リンク集

・トンパ文字
http://www.chokanji.com/cktompa/
一時流行した象形文字のトンパ文字。TRONのOS超漢字上で使える。「超漢字メールをつかえば、「超漢字トンパ書体」を使う人どうしで、トンパ文字を含む文章をそのまま電子メールとして送ることができます 」とのこと。そもそも、そういうユーザが存在すれば、ですが...。

・かなヒエログリフ変換
http://ueno.tv/~moji/php/kana_hrg.php

かなを入力すると古代エジプト象形文字に変換してくれる。「はしもとだいや」はこんな感じになるそうだ。
hrg.png

・MyFonts.com
http://www.myfonts.com/Search?searchtype=adv_fonts

3万種類以上のフォントを検索できサンプル表示が見られる。価格で検索できるのが面白い。なお自作フォントを販売することもできる。販売価格の35%がMyFonts.comの利益になるビジネス。


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Posted by daiya at 2003年11月24日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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Comments

はじめまして
「Glyph-On! Movable Type ホスティングサービス」
をご紹介致します。
Myfontやおれん字2にて生成されたfontが使用できる
CMS/blogサービスです。

Posted by: glyphon at 2005年09月30日 15:53
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