2003年11月23日
三色ボールペン情報活用術
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・三色ボールペン情報活用術
「
情報との出会いも一期一会だと思うことだ。「この情報とは、この瞬間を逃したらもう会えない、今日を限りにもう一生出会うことはない、そのくらいの気持ちで接する。
」
情報術の売れっ子作家である著者の言葉。これって大事なことだと思う。たまに、会議の直前になって「じゃあ、今日は橋本さんが最初に全体のレクチャーしてね」と頼まれたりする。慌てて配布予定の書類に目を通すのだが、そういう、時間が限られていて緊張感のある時の方が、同じ文書から、たくさんの量の情報を読み取れることがある。
この本の提唱する三色ボールペン情報活用術は至ってシンプルな方法論である。
「客観的に最重要なものは赤、まあ大事なものは青、主観的に大切だと感じたものは緑で、線を引いたり、丸で囲ったりする、それだけだ。」
ただそれだけ。細かい公式ルールはほとんどない。そして基本的に自分の読解のための、色分けである。他人のために色分けするのではないのがポイントのように思った。
著者は情報と向き合う術について、聞きなれない3つのノウハウを語っている。自分なりに要約してみると恐らく、こういうことになる。
1 くぐらせる
外側にある情報を内側へ自分のフィルターで取り組み記憶に残す
2 立ち上がらせる
文章の中の重要な部分、キーワードを意識して浮き上がらせる
3 編み出す
緑で色分けした自分なりの発想、着想からアイデアを生み出す
2週間ほど実践してみている。効果は結構あったなあと思って続けている。3色に分けようという目的意識があるために、普段は頭を素通りしてしまう文書が、記憶に残りやすくなっていくのだ。著者の言う、情報との一期一会感、緊張感が強まるということだと思う。
この本の著者は大学の教授である。情報活用術の本はたくさんあって、学者の先生や、それ自体のノウハウを売るのが仕事みたいな人の著作は、どうも一般ビジネスマンのノウハウとずれていると感じることもある。この本も、ビジネスの具体的なワークフローや特定の業界の情報術にはあまり触れられていない。若干、そういう面もあるのだが、方法論と効果の分かりやすさ、実践のしやすさがそれを補っている。いい本。
ところで、一本に赤、青、緑の「3色ボールペン」は実はあまり売られていない。普通はこれに黒が入って4色ボールペンが多い。文房具屋で何本か試したが、ゼブラの4色ボールペンが使いやすかったのでそれにした。決して3色の3本のボールペンを使ってはいけないらしいので注意。
評価:★★☆☆☆
■メールの色分けは便利
個人的に実践している色分けはメールである。Beckyというメールソフトは、登録したキーワードがメール本文にあると色分けで表示してくれる。3色にできると便利なのだが今のところ一色のみ。自分や知人の名前、興味のあるキーワードを登録しておくと、メールマガジンなどを流し読みしていても見逃さないので便利。(きっと他のメールソフトにも色分け機能はあるのだろうけどあまり利用者は少ない?)
■色のバリアフリーという視点
色と情報について調べていたときに以下のサイトを見つけて、普段気がつかなかったことを教えてもらった。色分けで情報を見やすくするつもりが、何パーセントかの人には逆に見えにくくなってしまうことがある。気をつけたい。
・色覚の多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション
http://www.watsonkun.com/shujunsha/barrierfree.html
日本人の20人に1人は色覚異常であるとのこと。色のバリアフリーについて書かれたページ。
・色覚に障害を持っていたとしたら、あなたのサイトは見えるでしょうか ?
http://www.microsoft.com/japan/msdn/columns/hess/hess10092000.asp
Webのアクセシビリティは浸透しつつあるけれど、色の問題に気をつけようという話はあまり聞かない。このページは実例があって勉強になる。マイクロソフト提供。
#本記事のメールサンプルは、お手伝いさせていただいている、デジハリ卒業生で構成するプロタマの内部MLにコンサルタントの安藤氏が流している濃いクリッピングメールから勝手にパクらせて頂きました。リンク張ったから許して>安藤氏。
#記事自体も3色で色分けしてみました。赤と青だけ読めば要旨が分かり、緑を読めば、私の個人的、主観の意見が伝わっていたら成功といえそう。
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Posted by daiya at 2003年11月23日 23:59 | TrackBack
daiyaさん
私も3色はここ4ヶ月ほどやってます。意味のある作業だと感じます。ピックアップされた「くぐらせる」等の3つの単語は、私にとって「赤」&「緑」です。
4ヶ月前3色ボールペンを探しにいった時なかなか見つからず苦労しました。ところが最近あちこちでみるようになりました。結構浸透しているようですね。
それから、「紙」でこれができないかと思ったのですが、物理的な「紙」と画面の違いなのか、一寸上手くいってません。
仮にこれができて、赤の中からの検索、緑の中からの検索ができると発想支援上意味のある事になるのではないかと思います。
はじめまして、配色のアクセシビリティということでずっと悩んでいるひとりです。
好奇心からこのページをVischeckという色覚障害(あるいは色盲、色弱、どちらの言い方が当事者にとって好もしいのかは、それぞれの人で違うみたいですね。でも色覚異常というのは、ちょっと違和感。)の人にとってどう見えるのか、カラーシミュレーションしてみました。結果は、やはり、赤、青、緑が全く異なる色に表示され、場合によっては、本文より薄く、見づらい色となりました。
駄目なパターンの代表例には、黒地に赤とか、黒地に青とか、緑地に赤とか。でも、色覚障害の人と白内障の人とか、人それぞれで微妙に見え方が異なり、駄目なパターンも違うので、ほんと難しいです。
基本的には輝度コントラストを大きく取れば良いというのが専門家のご意見です。色別けだけよりは、強調部分を太字にするとかが、やはり無難でしょう。
実際に、どういう配色だと見づらいのかは、人それぞれなので、それぞれの人に見てもらわないと何とも言えませんが、シミュレーションするツールについては、拙サイトでまとめて紹介していますので、ご参考まです。
http://www.keiyu.com/access/acolor.htm
Posted by: 石田優子 at 2003年11月24日 21:10Beckyのような色分け表示は秀丸でも可能ですね。
重宝しています。
メセニといいます。
はじめまして。
緑のキーワードに注意しながら、本や資料を読むということは、自分の「暗黙知」にその文章を「くぐらせる」ことになり、そこに新しいものが生まれるキッカケになるのでしょう。
なかなか高度な技かと・・・