2003年11月06日
アウェアネスWeb
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日経BP先端技術情報センターでの連載で以下のコラムを書いた。
・アウェアネス支援ツールとしてのインスタントメッセンジャー
http://sentan.nikkeibp.co.jp/mt/20031104-01.htm
もう少し展開してみたい。
ある大規模な博覧会の情報システム企画のブレインストーミングに参加した際に、私は「イベントで混んでいるのが嫌だ。パビリオンも昼食のレストランも、行列に並びたくないから、ITを使ったナビゲーションを使って待ち時間を減らすようなシステム構築はどうですか?」と提案したら、経験のあるコンサルタントから、「橋本さん、それが展示側からすると、ちょっと違うかもしれないのです」と意外な意見が返ってきた。
出店するパビリオンやレストランの経営側は、むしろ、行列を作ってもらいたいのだという。行列が行列を呼んで、ビジネス的には繁盛するというわけだ。ECサイト楽天のコンサルタントも、言っていた。「人気は人気(ひとけ)につながる。人気のWebショップを作りたければ、他の客がたくさんいることが分かるように人の気配の演出が効果的だ」。
ここでいうアウェアネスというのは、存在感や臨場感、誰かと場や空間を共有しているという意識のこと。フェイスツーフェイスのコミュニケーションでは、私たちは当たり前すぎて、アウェアネス情報をあまり意識しないが、この当たり前ができないと「場の空気を読めないヤツ」になってしまう。
Webもアウェアネス情報を伝えることで、もっと楽しくなる、はずだ。例えば、
・Visualizing the Crowds at a Web Site
http://xenia.media.mit.edu/~nelson/research/crowdvis/index.html
MITの研究成果として公開されているJavaアプレット。サーバ(lcs.www.media.mit.edu)への、ある二日間のアクセスログから、各Webページへのユーザの訪問状況を視覚化している。ホームページアイコンの周りに集まってくる点がユーザで、どのページに今アクセスが集中しているかを確認できる。
リアルタイムにアクセス状況が分かると、作者は、「お、今、私のBlogに人が集まっているから新しい記事を追加してみようかな?」と思ったりもする。もっと明示的にアウェアネスを感じるものとしては、こんなのも面白そうだ。
・Web拍手
http://www.webclap.com/
このサービスはWebにこんなボタンを取り付けると、(これは実際、機能します)
ビジターが作者に拍手を送れる。作者は拍手結果の解析画面で拍手の数や、拍手の音を聞けたりするのだ。逆にブーイングがあっても面白いかもしれない。コンテンツを見ている人の顔やリアクションを見ながら、ビジターとコミュニケーションできる。(最もWebClapも完全リアルタイム、というわけではないのだが)。
逆の方向性として、私と同じringolab.comサーバでBlogを公開している、研究者のshimaさんはBlogにWebカメラの映像を貼り付けるという試みをされている。
・Shima's
http://www.ringolab.com/note/shima/
・WebCam埋め込み(技術的なやり方も手順が書かれていて参考になる)
http://www.ringolab.com/note/shima/archives/000347.html
このやり方だと、作者が今PCの前に座っているとか、忙しそうだとか、来客中だとか、分かるので、ビジターもコメントを書く際の参考になるだろう。
コミュニケーション活性化の呼び水として有効なアウェアネスだが、過剰に演出するといわゆる「さくら」になる。何百年も前からやられている古典的マーケティング手法だ。出会い系Webでは女の子のさくらのアルバイトが結構あるらしい。
・Googleで「出会い系 アルバイト」検索結果でいくつもみつかる。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%84%E7%B3%BB%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88&lr=
企業のWebショップの掲示板やオークションへの書き込みのアルバイトというのもあるらしいし、そのアウェアネスが本物か、どうか見極める目も、ユーザには求められる時代、ということか。
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Posted by daiya at 2003年11月06日 23:59 | TrackBack
橋本さんこんにちは、安藤です。同時アクセスしている人をカウントする手段として
ドリフカウンター
http://dorif.kayac.com/
もありました。
グラフィカルな表示という点では、MITのアプレットにはかなうべくもないですが。