2003年10月22日
なぜYAHOO!は最強のブランドなのか
スポンサード リンク
この本、評価は読む人によって大きく分かれると思う。内容にタイトルの「なぜYAHOO!は最強のブランドなのか」の理由を期待してはいけない。そんなことは、ほとんど言及されていない。YAHOO!の創業から2001年末くらいまでの状況を、年表的に述べていく、ただそれだけの本。インターネット草創期からネットビジネスに飛び込んだ世代には、この神話時代の内輪話は「ああ、あのときの買収劇はそういう意図だったのね」などと分かって、たまらなく面白いが、現状と未来を知りたい人には、古事記や旧約聖書を読まされている退屈な本に感じるだろう。私は楽しめた。
1994年。創業者の落ちこぼれ大学院生のヤンとファイロが教授が休暇をとったのをよいことに、研究そっちのけで、Webのリンク集「デビットとジェリーのWWWガイド」作成に没頭した。使った大学のサーバの名前は「小錦」と「曙」。1994年4月の登録数100サイト、毎週1000ヒットのこのサイトが、2億人を超えるユーザと数十兆円の価値を持つビジネスになるまでの長くて短い歴史書。それは同時に、わくわくする若い創造性あふれるベンチャーが、つまらないけど価値のある大企業へと成長していく物語でもあったのだな、感じた。
評価:★☆☆☆☆
で、まさに今の日本のYAHOO!ってどうなんだろうということで、ちょうどいいタイミングのデータがある。
YAHOO!JAPANは昨日、最新の中間決算報告を発表した。ちょっと読むにはふたつめのプレゼン資料が分かりやすい。
・2003年度第2四半期および上半期の事業概況(2003年10月21日発表)
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/bizres/gaikyo/20031021/20031021-gaikyo-jp.pdf
・2003年度第2四半期および中間決算説明会のプレゼンテーション資料(2003年10月21日発表)
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/bizres/present/20031021/031021-2q-present-jp-all.pdf
このIR資料からQ&A形式で今のYAHOO!が分かるようにまとめると、
Q:YAHOO!JAPANはどれくらいアクセスされているの?
A:
当四半期において、当社の1 日のページビューは、初めて5 億9,000 万ページビューを突破しました。当グループの9 月の月間ページビューは、165 億2,096 万ページビューに達し、(中略))ユニークユーザー数は、約5,700万ブラウザと前四半期末と比較して約160 万ブラウザ増加(2.9%増)しました。
Q:儲かってますか?
A:
上半期の売上高は331 億円(前年同期比70.9%増)、営業利益は176 億円(前年同期比86.4%増)
Q:いろいろやってますが売上げと利益、ページビューの比率は?
A:
どうもIR資料のPDFだけでは分かりにくかったのでこんなかんじの構成グラフを作成してみた。
Q:広告はどれくらい売れるものですか?
A:
当四半期の広告関連売上は48億円(前四半期比10.5%増、前年同期比58.4%増)と7四半期連続で増加、過去最高の売上高となった
とまあ、だいたい上記のようなものである。IR情報は株主を惑わしてはいけないので、現状説明にとどまる。公開資料をもとに作り直した私の3つの円グラフは観察すると、
・オークションはトラフィックや売上げより利益が多いからおいしそうだな
・ニュースコンテンツ(メディア)はトラフィックは多いけど儲からないのだな
・不動産とかグルメとかリスティングは人気はあるけどそれほど儲かってないのだな
・ショッピングはまだまだ。楽天とかアマゾンとかあるしなあ
といったことが分かる。ちなみに、米国ではYAHOO!オークションは人気も利益も日本ほどなかったりする(紹介した本には経緯が書いてある。有料化したとたん90%のユーザを失い、eBay買収失敗という誤算のせいだ)し、YAHOO!BBもない。
というわけで本日は某所で打倒YAHOO!研究会。予習をそのままエントリした次第。
スポンサード リンク
Posted by daiya at 2003年10月22日 23:56