2003年10月14日
情報処理のプロセス統合=場としてのオフィスアプリケーション
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先日のCnetセミナーでもAmazonが実装したデモを見たが、新MS OfficeはWebServiceに対応したリサーチペインを搭載している。ネットから必要な情報をWordやExcelに直接呼び出して文書作成を支援するというもの。WebServiceのクライアントとして、MS Officeは有力な存在だと思う。まずWebブラウザーのツールバーと同程度には普及するのではないか。
・米マイクロソフトと米アマゾン、新OfficeのWebサービスで提携
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20061288,00.htm
・AmazonのWebサービス、Microsoft Office Systemに組み込みへ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/10/10/730.html
MS Officeのリサーチペインは、単にWordやExcelのサイドにブラウザーウィンドウを入れるだけには止まらないはずだ。Webサービスというプロトコルを使って、.NetやActiveXやVBAマクロによる機能コンポーネントを、サードパーティが提供するだろう。
ユーザは、適宜、WebServiceを組み合わせて、自分用に特化したオフィス環境を使うようになる。マイクロソフトはOfficeへのWebService展開について、日本でもすでに取り組みを始めている。日経グループはこの点では取り組みが早いようだ。
・日経ビズボード
http://bizboard.nikkeibp.co.jp/ad/release_030416.pdf
・日経デスクトップ
http://www.desktop.co.jp/pdf/office2003_setup.pdf
日経やAmazon、その他何百種のオンライン情報を自在に参照しながら文書を作成し、共有される場としてのアプリケーション。リサーチャーだけでなく多くのビジネスマンにとってかなり魅力的な情報処理環境になりそうだ。
海外まで含めれば、WebServiceは既に数多く登場している。
・SoapWare
http://www.soapware.org/
・SoapNews
http://soap.weblogs.com/
・SoapClient
http://www.soapclient.com/
私は将来はWebブラウザーなんて不要になるのではないか、と過激な未来を考えている。
現在の情報処理のプロセスを私は次の4つと捉えている。
1 情報収集 → 2 情報整理 → 3 文書作成 → 4 情報発信
1と2はインプット、3と4はアウトプットとも呼べる。
現在のデスクトップの作業環境では、4つのプロセスを別々のアプリケーションで行うことが多い。発想からして、情報の受信と発信、インプットとアウトプット、この大きな二つのプロセスは分けがちだった。だから、Webで調べた情報を、整理して、ビジュアライズ(表やグラフ化)し、配布できる文書にするには2つか3つのアプリを使うことになる
MS Officeのリサーチペインは、1-3を統合するものと言える。情報処理プロセスの統合化の流れはオンラインでも、ある。
最近流行しているWebアプリの、BlogやWikiを見ていると、個人のメモ(情報収集)としても、発信メディア(文書作成)としても、同時に機能している。おまけに書いた記事の文書管理もできるし、他者の情報とリンクすることもできる。複数の書き手のコラボレーションを行うこともできる。
例えば、文書化機能の例としては、
・FreeStyleWiki
http://fswiki.poi.jp/wiki.cgi?page=FrontPage
・BrainMemo
http://www.tender-brains.net/memo/public/intro.html
といったWikiシステムでは、オンラインに登録された記事ページをすべてPDFとして出力することができる。もう少しDTP的機能が加われば、文書のオンライン共同編集プラットフォームと言っても良いだろう。
情報処理のアプリケーションは上記4つのプロセスを統合した「場」「空間」としての情報処理のワークスペースに向かっているように思う。
2年後、3年後、私たちはどういう場の中で仕事をすることになるだろうか。XMLWebServiceによる機能コンポーネントをユーザがオンデマンドに組み合わせるオフィス環境という方向性は間違いないように思われる。
早速、社内にも「ウチのアプリもWebService対応にしようよ」と提案を出した。
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Posted by daiya at 2003年10月14日 23:57 | TrackBack
紙2001のプロ版は、このコラムで言っている
「知的生産」のためのツールとして結構優れもの
と思っています。
大橋さんは今日ご紹介のソフト群と、この
紙2001とをどう位置づけれますか?
ご意見ありがとうございます。
早速そのテーマで一本Blog記事に仕立ててみたいと思います。2,3日中に書いてみます。
橋本さん
貴重な情報をいつもありがとうございます。
>私は将来はWebブラウザーなんて不要になるのではないか、と過激な未来を考えている。
ふむ。全く過激とは思わないのです。ポストブラウザの動きが本格的になる土台ができつつあると...そんな気がします。HTMLは、本来、文書を構造化することが目的の言語でしたが、結局、見た目を整える表現するための言語に形を変えてしまったように思います。この流れを変えて、コンテンツを構造化する流れに変えたのがBLOGというトレンドで、さらにコンテンツが標準化、構造化されることで、扱いやすくなったコンテンツ(メタデータ)を扱うアプリケーションや試みがいろいろと世に出てきている、そんな状況だと感じます。ポストブラウザはこういう試みの中から生まれてくるのだと、そう思います。
追伸...
日経デスクトップのURLは下記ですよね?
http://www.desktop.co.jp/nikkeinet/service/office2003.html#service
私より過激な意見の方ですね。
「ポストブラウザ」というテーマは記事ネタによさそうなので今度チャレンジしてみます。
記事URL間違えてました。ご指摘ありがとうございます。早速修正してしまいます。
Posted by: daiya at 2003年10月16日 03:14sansaraさんの問いかけに反応して紙について思うことを書いてみました。
・パーソナルナレッジベース、新しいデスクトップ操作方法、紙2001
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000310.html