2003年10月02日
レヴィ=ストロース―構造 現代思想の冒険者たちSelect
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・レヴィ=ストロース―構造 現代思想の冒険者たちSelect
学生時代夢中になった構造主義人類学者レヴィ・ストロースにまた触れる。いくつか今のITの仕事にあてはめて考えることができそうなテーマをみつける。たとえばブリコラージュというテーマ。
ビジネスマンにとって情報は今使える情報こそ重要な情報である。たとえそれが首尾一貫したものでなく、断片的なものであっても、それらを組み合わせて、顧客を、上司・部下を、株主を説得できればビジネスの目的は達せられる。研究者が必要としているような一大論理体系は、むしろ、理解するのに時間がかかって面倒であるし、そこまで知って何になる、と敬遠されがちだ。
Webで手早く情報を拾って、作成中の企画書をまとめあげる。経験のある仲間に聞いて目処をつける。前年度の資料を参考に、勘を使って数字を手直しする。ビジネスマンが日常必要としている情報処理というのは、研究者のそれと違って、目の前にある仕事を片付けるということに向かっているわけだ。
レヴィ・ストロースの造語に「ブリコラージュ」(器用仕事)という言葉がある。本来は未開の部族が、少ない手持ちの道具や素材を上手に使って、必要なものを作り上げてしまう手仕事のことだ。ブリコラージュは学者や職人のプロフェッショナリズムとは対をなす、生活者の熟練の知恵であるが、現代において上手にITを使いこなす人たちと言うのは情報ブリコラージュの達人と言えるのではないか、と思う。
・器用に検索エンジンを使って、情報をまとめあげる仕事
・フリーのツールを多数組み合わせて文書処理を行う仕事
・オンラインの情報を肴に原稿や企画書を半時間で書いてしまう仕事
・専門外の質問にもネットワーク経由で識者に聞いて解決する仕事
・手持ちデータをネット情報で補強して翌日のプレゼンを切り抜ける仕事
一般にこういうことができるビジネスマンはネットを使いこなしていると言えるだろう。こういった作業をするのに情報学を学ぶ必要はない。少ないリソースでどうにかする経験の積み重ねの上に、ブリコラージュのヒューリスティックは蓄積されていくものだ。実際、いわゆるITの達人、PCの達人と呼ばれる人たちの多くは、使いながらスキルを身につけているケースが多い。
知識がないだとか、ツールがない、予算がないとか、何かがないことをできない理由にしちゃあいけないってことだなあと思う今日この頃。
評価:★★☆☆☆
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Posted by daiya at 2003年10月02日 02:15 | TrackBack