オーディオブック 阿Q正伝 - 魯迅
オーディオブックで聴く古典。
辛亥革命の頃の中国の農村に住む阿Qという名の(阿は愛称、Qくん、Qちゃんの意)ダメ男の伝記。
阿Qは姓名も原籍も少々あいまいで、貧しく、家もなく、女とも縁がない。無知蒙昧な男であるがプライドだけは高くて、独自の「精神の勝利法」を確立している。村人に罵られ殴られても、俺は長者の本家の出だと嘘を言ったり、「てめえ達は、やっぱり相手にならねえ」というばかりで、負けは認めない。独自のロジックで自分の勝ちだと言い張る。
村の金持ちの家に雇われていながら、主人の気に入っている女中に手を出して追い出され、路頭に迷う阿Q。そんな中で革命の波が村にもやってきて阿Qは革命の意味もわからないまま、革命党に加わろうとするが、逆に金持ちの家の襲撃事件の疑いをかけられて逮捕され、ろくな弁明もできないまま銃殺されてしまう。
なんとも情けない阿Qの一生。日本留学中の魯迅が、当時の中国人の精神性を風刺した作品。
阿Qの情けなさは現代日本社会に生きている自分の中にも共通するものを感じる。理不尽に負けを認めない精神の勝利法は、客観的に見たら愚かなのだが、世の中の荒波を生きるうえでは必要な心構えなんじゃないだろうか。「俺はまだ本気出してないだけ」的に。
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