オーディオブック 桃太郎 芥川龍之介
オーディオブックってよいですね。この作品は、朗読だけでなく、ピアノや効果音が入っていて、雰囲気を盛り上げてくれます。
一本目は芥川龍之介によるパロディ版の桃太郎。有名作家の昔話だろうと安心して幼い子供に聴かせてはいけません。内容はかなりブラックです。
「桃から生れた桃太郎は鬼が島の征伐を思い立った。思い立った訣はなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。その話を聞いた老人夫婦は内心この腕白ものに愛想をつかしていた時だったから、一刻も早く追い出したさに旗とか太刀とか陣羽織とか、出陣の支度に入用のものは云うなり次第に持たせることにした。のみならず途中の兵糧には、これも桃太郎の註文通り、黍団子さえこしらえてやったのである。」
桃から生まれた桃太郎が、イヌ、サル、キジを従えて、鬼退治をするという表面的なストーリー展開は昔話のままですが、登場人物たちの心理や背景事情が、きれいごとでは済まされないブラックなノリです。
ところであの桃はどこから流れて来たのか?桃太郎の桃の木の由緒を語る最初と最後の格調高い語りはさすが文豪であり、パロディ部分との落差が楽しい。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: オーディオブック 桃太郎 芥川龍之介
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/3995