オーディオブック 悪魔祈祷書 夢野久作

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『ドグラ・マグラ』の夢野久作の短編。「サンデー毎日」1936(昭和11)年3月で発表。

「いらっしゃいまし。お珍らしい雨で御座いますナアどうも......こうもダシヌケに降り出されちゃ敵いません。
 いつも御贔屓になりまして......ま......おかけ下さいまし。一服お付けなすって......ハハア。傘をお持ちにならなかった。ヘヘ、どうぞ御ゆっくり......そのうち明るくなりましょう。
 どうもコンナにお涼しくなりましてから雷鳴入りの夕立なんて可笑な時候で御座いますなあ。まったく......まだ五時だってえのに電燈を灯つけなくちゃ物が見えねえなんて......店ん中に妖怪でも出そうで......もっとも古本屋なんて商売は、あんまり明るくちゃ工合が悪う御座いますナ。西日が一パイに這入はいるような店だと背皮クロスがミンナ離れちゃいますからね。ヘヘヘ......。」

と、全編が、雨宿りする客に話しかける古本屋の主人のセリフのみで構成されているため、朗読ものにとても向いている内容だった。主人が一方的に客に話しかけるだけで、客の声というものはないので、一人で完結するのだ。ある意味これは落語である。

文字で短編として読んでいたら、10分くらいで読めてしまって、あっさりしすぎていたかもしれない。この朗読は約1時間。長い雨に閉じ込められた閉鎖空間の舞台での語りは、朗読のほうがムードがでてくる。

効果音もよくできていて雨音とそれが途切れるときのムードの切りかわりが印象的だった。

悪魔祈祷書 - 夢野久作

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このページは、daiyaが2013年6月10日 23:59に書いたブログ記事です。

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