るり姉
おばのるり姉は明るい性格で、自由な生き方をしていて、中学生と高校生の3姉妹は憧れている。休みには一緒にイチゴ狩りへ出かけたり、家に泊めてもらったりの家族づきあい。忙しい母親に比べて一緒にいて楽しい大人だ。だが、その、るり姉が突然、検査入院をすることになる。どうやら深刻な病気らしい。平穏だった家族に暗い影が忍び寄る。るり姉自身の視点ではなく、それ以外の、姉妹や母親、るり姉の夫の視点から、各章が語られていく。
看護師として働く母は離婚しており、3姉妹に父親は不在。るり姉もバツイチの再婚で今は二人目の夫とくらす。次女のみやこは髪を赤く染めている。サザエさん的ステレオタイプではなくて、現代日本のリアルな生活感がある。
失うことになってはじめて気がつく大切なものを、前向きなタッチで描いた。「本の雑誌」2009年上半期エンターテインメント・ベスト1に選ばれた作品。さわやかな読後感。このラストにはやられたなあというかんじ。帯には「ゲラゲラ笑えてダーダー泣ける!」という紹介分があったが、むしろ、穏やかで温かい印象があった。
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