サラの鍵
第二次世界大戦のパリ。ドイツ軍に予告なく家を訪問され収容所に連行されるユダヤ人家族。姉のサラはアパートを出る時、とっさの判断で幼い弟を納戸に閉じ込めた。その鍵をサラは握りしめて過酷な日々を生き抜いた。ドラマはその60年後、そのアパートを所有する女性ジャーナリストが、サラの足跡をたどるところから映画は始まる。
これは好きな映画だ。終盤にいたるまで誰のための何の話なのか読めない。ありきたりな起承転結ではないから、見ている間、この話はどこへ落としてくれるのだろうという吊り上げられ感がある。だがミステリー仕立ての緊張感を持った展開が続く、そして登場人物も魅力的に描写されていくので、飽きることがなかった。そして何よりラストではちゃんと受け止めてもらえた。メッセージを受け取れた。それはアウシュビッツに至るユダヤ人迫害の記録であり、傷ついた少女の話もであり、現代を生きる子供たち家族の再生の物語であり、多元的な展開が見事につながっていった。
モデルになったのはフランスのパリで発生したディヴェール大量検挙事件。ユダヤ人の悲劇はドイツだけではなかったのだ。初めて知る残酷な事実に衝撃を受けた。真実を知ることは時として残酷だけれど、真実を乗り越えていかなかったら、本当の人生はない。そういうメッセージかなと私は受け取れた。いい映画見たなあとしみじみ思える良作。
映画『サラの鍵』公式サイト
http://www.sara.gaga.ne.jp/
原作小説は300万部のベストセラー。
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