まんがで読破『純粋理性批判』『ツァラトゥストラかく語りき』『死に至る病』
このGW中はまんがで読破シリーズで難解本の概要を楽しむことにした。
カントの純粋理性批判は長年の積読書である。もう10年くらい書庫に放ってある。いつか必ず読むつもりなのだが、いつなのかは不明だ。とりあえずまんがで概要を読めたのはうれしい。西洋哲学の伝統をコペルニクス的に展開させた批判哲学。
まんがで読破シリーズ中でも、さすがに本書は難解になっている。本シリーズは古典の内容に忠実に漫画化するもの(小説に多い)と、古典を解説する現代を舞台にした漫画化との2パターンがある。純粋理性批判は後者である。哲学に詳しい女性教師が、生徒会の哲学好きな学生たちに教えるという形をとっている。
従来の「認識は対象に従って規定される」を「対象が認識に従って規定される」と想定してみたのがコペルニクス的転回なのよ、とか、カントは認識をア・プリオリな認識とア・ポステリオリな認識の二つにわけていたのよとか、先生が生徒にカントの基本を教えているコマが多い。本シリーズとしては、とにかく文章量が多いのが特徴だ。漫画のよさをあまり活かしきれなかったかもしれない。ただ説明文章はちゃんと選ばれていて、カントの哲学の要約にはなっていると思った。
2冊目。うーん、しかし、これはダメだな。原作と違う。物語性を高めて原作に興味を持たせるというのはいい作戦なのだが、これでは違いすぎるので、物語的ではない散文の原作を読んだらうんざりしてしまうだろう。
3冊目。キェルケゴール
「絶望とは、人間の精神のみが患う病である。時は19世紀のヨーロッパ。社会や個人への不安を抱え、自己疎外に陥った人々の魂の救済、精神の教化と覚醒のため、哲学者キェルケゴールの探求が始まる―。21世紀、今も私たちをとらえて離さない「死に至る病」を、現代の視点から綴ったオリジナルストーリーと絡めて漫画化。」
悩める現代の少年に哲学に詳しい叔母さんが死に至る病の内容を教えるという形でわかりやすく解説している。キェルケゴールの人生についても言及しており、なぜそうした哲学思想を持つにいたったかも知ることができてよかった。
というわけで、このシリーズは外れもあるが結構よいものも多い。また読んでみよう。
・まんがで読破『カーマ・スートラ』『死者の書』『我が闘争』
http://www.ringolab.com/note/daiya/2013/04/post-1792.html
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