捨てがたき人々

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・捨てがたき人々 上
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ジョージ 秋山の傑作。

何の取り柄もなく、無職で醜男子で、生きるのがつまらないと感じている狸穴勇介。ある日、弁当屋で働く京子と出会う。顔は悪いがが体つきだけはよい女だ。「神我の湖」という新興宗教にはまっている。性欲が強い勇介は、京子につきあいたいと思い近づくが、やがて口説くのも面倒になってストーキングしてレイプするに至る。そこから二人は互いの醜さを嫌いながらもひとつ屋根の下で暮らし始める。

・捨てがたき人々 下
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レイプから始まる男女関係に象徴されているが、人間のだらしなさ、どうしようもなさをこれでもかといわんばかりに強調した作品だ。煩悩を抱えた登場人物が煩悩のままにうごめいている。それは読者の心の中にもいくらかはある煩悩であり、読み進めると、自分がどんどん堕落していく気持ちになる。その堕落感がいい。

作品名にある「捨てがたき」という形容詞の説明は作中にないのだけれど、
執着(愛)を捨てられない人々
あるいは神の視点から
世界から捨てられるべきではない人々
という意味でとらえるといいのだろうか。
小説のようなしっかりした読後感をもらえる大人向けの傑作漫画だ。子供は読んじゃダメ。

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このページは、daiyaが2013年4月12日 23:59に書いたブログ記事です。

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