まちづくりマネジメントはこう行え 西郷真理子
まちづくりマネジメントはこう行え 2011年10月 (仕事学のすすめ)
まちづくりのコンサルタント 西郷真理子の仕事をまとめた小冊子。住民たちがディベロッパーになる、住民参加型のまちづくりには独自のノウハウがある。ステークホルダーがまちづくり会社を設立して、地権者たちは利用権利を委譲する。土地と所有と利用の分離、公共性と事業性の両立というしきりを作ったうえで、徹底的に話し合い合意形成をする。
だから従来の都市デベロッパーにはできないことができる。
人の集うあいまいな共有空間が大事。手法としてクリストファー・アレグザンダーのパターンランゲージ、デザインコードを重視している。真ん中にシンボル的なものを置く。道路の広さと建物の高さの関係(D/H)は1:2くらいだと心地よいが開きすぎるとだめ。ヒューマンスケールをベースに考えることが大切。移動には300メートルくらい歩くくらいがちょうどいい。そういったパターンをもとに、実際の空間をデザインする。
同氏の代表作である高松市丸亀町商店街の例をこの前見てきた。
kame3.jp - 高松丸亀町商店街 - http://www.kame3.jp/
大きなドームを中心にしたメインストリートは明るく近代的な商業モールのようでありながら多数の昭和的な横丁が混在する、有機的な深さを感じる商店街だった。規模もとても大きいがにぎわっていてシャッターを下ろした店もほとんどなく元気な地域をみた気がした。
縁側、テラス = 外でも内でもないあいまいな空間、心地よい遊びのある空間に人は集まるという発想が実際に生かされていた。
「職住一体」という言葉があるけれど、最近では商と住一体というのもあるらしい。米国では
ライフスタイルセンターというコンセプトでショッピングモールの3Fが住居の、アーケードのないオープンモールが注目されている。
街づくりは時代とともに変化する。著者は都市を集約してコンパクトに戻していくべきだという。日本の人口1.28億人は30年後には1億人になる。1970年の人口に戻るのだ。だからこそコンパクトシティの発想が大切になるという。豊かな地域コミュニティ、顔の見える商店街の復活、集団で支えあう街へと古くて新しい価値観への挑戦の事例がこの冊子にはいろいろ書いてあった。
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