新装版 ネオデビルマン(上)
有名漫画家によるデビルマンのトリビュート作品集。
アニメと違って漫画原作のデビルマンというのは少年漫画史上最凶最悪ともいえるほどダークな最終回で知られる。まず主人公の友人たちの多くはデーモンに惨殺され、地球は完全破壊され、人類は滅亡してしまう。デビルマンとデーモン族の最終決戦となり、デビルマンは微妙な愛人関係でもあるサタンに身体を真っ二つにされてしまう。虫の息のデビルマンに、サタンが謝罪するシーンは神も仏もない(悪魔だから笑)、救いようがないトラウマエンディング。
原作の持つアナーキズムとエロティシズムに魅了された有名作家は大勢いて、上巻収録作品は、 永井豪とダイナミックプロ, 萩原 玲二, 江川 達也, 寺田 克也, 石川 賢, ヒロモト 森一, 永野 のりこ, 安彦 良和, 三山 のぼる, とり みき, 永井 豪らによるもの。どれもこれも、妖艶なハダカと、凶悪な悪魔のイメージを使って、遊びたい放題で、危なくとんがった作品ばかり。
デビルマン原作の設定を引き継ぐ外伝的なものも多いのだが完全に換骨奪胎してオリジナルストーリーをつくった作家の作品が面白かった。悪魔界に落ちた代議士のサバイバルを描いた三山のぼる作品、化け死に病という奇病が流行る世界の女教師を主役にした作品が特に気に入った。
一番期待した安彦良和は、なんとシリアスタッチのギャグ漫画という超絶作品を投稿しており、ハダカやアクマの描き込みは素晴らしいのだけれども、いくらなんでも遊びすぎでしょう、デビルマンと趣旨が違うでしょうという色物を出してきた。ここまでの遊びは安彦良和作品の中でも珍しいから、ある意味ではファン必読。
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