世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析

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2009年ごろに始まったヤンキー文化の研究は、細々とながらも脈々と続いてきて、深まっているなあと実感できる本。かつてナンシー関は日本人はミーハー、オタク、ヤンキーの3つに分類できるという名言を残したが、日本には地方を中心に半端ではないボリュームのヤンキー指向層がいる。ヤンキーそのものではなくても、EXILE、浜崎あゆみ、YOSAKOIソーラン節、矢沢永吉、B'z、金八先生、ドン・キホーテなど、ヤンキー的なものをあげ始めたらきりがない。これは、なぜ日本人のマジョリティが、ヤンキー的なものにひきつけられるのか、そもそもヤンキーとは何かを分析した本。


ツヨメでチャラくてオラオラなヤンキー。著者はヤンキー文化が「互いに「舐められない」ことを目指してキテレツ要素をどんどんため込んでいった結果、あのようなバッドセンスが成立する」と指摘する。

「ツヨメとは目立つこと、すなわち「人目を引くファッション、社会から外れたライフスタイル」を指す。ファッションで言えば「日焼けサロンで焼いた黒い肌、明るい色の髪、露出の激しい、ド派手でカラフルな服装」などが「ツヨメ」ということになる。」というふうに、ヤンキーをめぐる要素をわかりやすく解説してくれる。ヤンキーに縁遠い人でも理解できる。

「ヤンキーの美学においては、ギャグやパロディがメタレベルを形成しない。それは常にベタな形でイカしたものととらえられ、さらにパロディックなエレメントをめいっぱいはらみながらいっそう誇張され、それがまた新たな美学につながる、という特異な回路を持っている。」

つっぱりハイスクールロックンロールや、なめ猫がなぜヤンキーに受けたのか、という疑問を深堀りしていくことで、その本質がみえていく展開が面白かった。また政治や社会における位置づけとしてのヤンキーは決して不良でマイノリティの破壊者ではなく

「キャラはシステムを否定しない。システムを変えてしまっては、キャラが崩壊しかねない。その意味でキャラの成功とは、"成り上がり"として。システムを回す側に立つことだ。」

筋を通す、ハンパはしないというポリシーを持つ彼らこそ、この国を支える代表的な保守派だという分析にうなった。そうか彼らこそ代表的日本人なのかもしれないのである。


すごいヤンキーの画像ください(珍走団・レディース・DQN・厨房) - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2124841280410253792

・ヤンキー文化論序説
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-951.html

・ヤンキー進化論 不良文化はなぜ強い
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1019.html

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このページは、daiyaが2013年2月27日 23:59に書いたブログ記事です。

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