厭な物語
海外文学から「厭な物語」ばかりを11編セレクトして収録。執筆陣が豪華。アガサ・クリスティー、パトリシア・ハイスミス、モーリス・ルヴェル、ジョー・R・ランズデール、シャーリィ・ジャクソン、ウラジミール・ソローキン、フランツ・カフカ、リチャード・クリスチャン・マンスン、ローレンス・ブロック、フラナリー・オコナー、フレドリック・ブラウン。
シャーリイ・ジャクスンの「くじ」は有名作品。村人たちが何か相当深刻なことをかけてくじ引きをする話。終始流れる不穏なムード、緊張感がよい。こういう精神的な負荷をじわじわと高めていく古典的で上品なものが半分くらい。
下品で強烈なのもある。アメリカ南部の町。二人の不良が犬の死骸を車でひきずって走るシーンから始まる「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」は生理的にサイアクに厭な感じ。ひきずって走れば内臓も骨もぐじゃぐじゃになってしまうわけだが、そこへさらにヤクザな人間に絡まれて、二人が犬みたいにぐじゃぐじゃにされてしまう。
あの手この手で厭な感じな作品が編まれている。ハッピーエンドよりもバッドエンドの方が結末が予測不能で、作家の創造性が発揮されるということがあるのかもしれない。かなり面白い。
・収録作品
「崖っぷち」アガサ・クリスティー
「すっぽん」パトリシア・ハイスミス
「フェリシテ」モーリス・ルヴェル
「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」ジョー・R・ランズデール
「くじ」シャーリイ・ジャクスン
「シーズンの始まり」ウラジミール・ソローキン
「判決 ある物語」フランツ・カフカ
「赤」リチャード・クリスチャン・マシスン
「言えないわけ」ローレンス・ブロック
「善人はそういない」フラナリー・オコナー
「うしろをみるな」フレドリック・ブラウン
アンソロジー『厭な物語』ができるまで(執筆者・文藝春秋 @Schunag) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130221/1361406114
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 厭な物語
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/3883