ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家:横浜美術館 と NHKスペシャル 沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~
この前の土曜日にロバート・キャパは2人いた、という衝撃的なフレーズが気になる写真展に行った。キャパは活動初期にはパートナーのドイツ人女性ゲルダ・タローと2人でキャパを名乗っていたが、すぐ女性写真家は亡くなってしまう。2人で1人のころの初期作品から始まり、後半はキャパの人生を時系列で追いながら代表作含めてゆっくりたっぷり作品を見せる。
キャパの代表作となった、あのノルマンディー上陸作戦のピンボケ写真ももちろんある。展示の横に掲載誌の『ライフ』が展示されていた。あの写真は見開きに4枚の写真が並べられており、作戦の経過がわかる組写真のような見せ方で世にでたのだったか。
大半が戦場写真だが、キャパは日本にも来ている。駅のホームで電車のくる方を見つめる子供。東京駅のホームで電車の待ち時間のわずか10分間に50枚以上も撮影したそうだ。戦場と違って何も起きない駅のホームでも作品を作ってしまう。さすが。
そしてこの写真展をみた翌日にNHKスペシャルでキャパの番組が放映されていたのでもちろんみた。
沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0203/index.html
NHKスペシャルが衝撃の内容。椅子から転げ落ちそう。前日にみたキャパ展の宣伝番組かなあと思って観たら、あの代表作「崩れ落ちる兵士」は、戦闘シーンではなく、兵士は死んでおらず、しかもキャパが撮影したものではないというとてつもない真実を暴き出す。NHKすごい。ダイオウイカに続いて真骨頂だ。興奮した。
Webを調べてみるとあの作品は以前より真贋論争というのはあったらしいが、キャパの名声をそれほど傷つけず、十字架を背負ったキャパという魅力的な人物像を立ち上げながら、事実は事実として明らかにしていく、いい番組づくりだったと思った。原作の沢木耕太郎の書籍も読んでみよう。
20世紀の写真史に残る他の傑作も、現代の科学で調べていくと、結構な割合でやらせが見つかるのかもしれない。
なおこの番組は
2013年2月7日(木)午前0時25分~1時14分(6日深夜)
で再放送されるそうだ。
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