一目惚れの科学
恋愛の科学的研究で知られる早稲田の政治学の教授 森川友義氏の新書。
「恋愛感情とは、卵子と精子が理想的な形で出会うためにつくられた人間の情動である」というかなり進化生物学的な教授の恋愛観にもとづいて、視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚の五感における異性の魅力とは何かを各分野の最新研究データをもとにとらえる。
「男性の場合は単純です。まず、性行為を行いたいという欲求がわいてくるほどに魅力的な女性、つまり、ふだん排泄用に使用されている性器が性行為を行うには十分な機能を果たすことができるようになるほど、興奮させてくれるような女性でなくてはならないということです。さもなければ繁殖行為ができません。」
男性にとっては厳しい自然環境に適応できるほど「健康」で「自分」の子どもをたくさん生んでくれる上手に子供を育ててくれるのが魅力的な女性であり、逆に女性の視点では、子どもや母体の庇護を十分にしてくれそうな男性が魅力的ということになる。
性淘汰で進化してきた他の動物と同様に異性の内面や能力を五感で直観的に見抜く能力を人類は発達させてきた。だから、どんな個体がモテるかはある程度科学的で解明できるはずということになる。面白いデータが満載。
顔が小さく目が大きく鼻が小さく口が大きくあごが狭くとがっている「女性らしい顔」(エストロゲンの特徴)は男性の目には0.15秒くらいで女性として「魅力的」というメッセージとして伝達される。(男性と違って女性は男性の顔に執着しないそうだが)。顔と身体において、健康の証であるシンメトリー指標が高いと、モテる、初体験が早い、性経験が豪富、体格がいい、精力的、競争心旺盛、といにおいを発する、声がよい、精子の質がよいという事実もある。身長が高い人ほど、1 健康であり、2 高い社会的地位についていて、3 収入も多く、4 より多くモテて、5 より多くの子どもをもうけているということもわかっている。もっと内面を大事にする社会に生きているはずだと思っていても、社会の統計を見てしまうと、まだまだ見た目が繁殖に関係があるのだ。
男性の異性を好きになれる許容度は女性に比べて大きくて10人に1人という実験データがあるそうで、視覚的な相思相愛の確率は0.1%。見かけがよくてデートしてみて本当に好きになる確率が10人に1人だとすると、0.01%の確率、つまり1万人と知り合って初めて相思相愛のカップルが生まれるというくらいの確立だから、出会いの数を多くしないといけないと若者にこの先生は呼びかけている。
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