都市と書斎のランドスケール [Kindle版]
「ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし」の著者・石川初氏と、「あたらしい書斎」の著者・いしたにまさき氏による対談。著者同士の馴れ合いを対談を文字化したゆるい内容だが、それぞれの読者にとっては楽しい。読者サービス型の電子書籍としてこういうのはいいな。
いしたにさんとは、古株ブログ仲間として、新春ポッドキャストを一緒にやったり、イベントに出たりと、おつきあいが長いのですが、常に今やっていることばかりがいっぱいあって、話が現在形に終始してしまい、これまでどんなことをやってきた人なのか、聞いたことがなかった。この本ではいきなり「いしたにのバックボーンから」として、いしたに家の幕末以来のルーツから明かされている。対談相手の石川さんも、横浜の石川町という地名が関係があったなんてこともわかる。
いしたにさんは、本をネットの先端サービスの本を次々に書いたり、バッグを作ったり、書斎の研究家になったり、政府の広報アドバイザーに就任したりと、やることが多彩だ。脈絡がないともいえるが、この結論を出さないで次へ行くというスタイルが、それがいしたにさんの卒論テーマの本居宣長の仕事スタイルの影響だったとは。
実は宣長の業績の中って、実は結論を出していないものが多いんです。対象化の問題に踏み込んでしまうと、結論って当然のように出にくくなるわけです。例えば古事記伝だとこんな感じです。冒頭に「天地」と書かれているんですが「これはテンチと読める。アマチとも読める、じゃあ次」。え!、結論ださないんだ!と(笑)。」
確かにこうしたじゃあ次!というスタイルの方が変化の激しいネット業界の先端ウォッチャーとしては向いている。
著者のプロフィールがわかる電子書籍ってありだなあと思った。対談は自分が語りではでてこない要素を引き出す。
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