無名の人々異色列伝
『血だるま剣法/おのれらに告ぐ』『薩摩義士伝』の平田弘史といえば臓物飛び散る過激で陰惨な時代漫画の作風で知られる人だが、この短編集は彼の作品群の中でも異色だ。江戸時代に無名でありながらも自らの命を賭して大義に殉じていったものたちの生きざまを描いたイイ話集なのだ。
いがみあう2つの村の争いを収めるために、村人たちの目の前で川に入って自らの首を斬った道慶根。癇症による短気が治らぬ主君を直すため自らの肉を献じた菅沼主水、崩御した天皇の土葬を命を懸けて主張して先例を変えさせた魚屋奥八兵衛など全11話。
史実を調べて、名もなき勇者たちをみつけて、すこし物語として膨らませて描いている。破滅的なオチが多い平田弘史作品だが、この作品は異質で、人は死ぬし、臓物が出るシーンもないわけではないが、最後は心温まるいい話として終わってくれるので、安心感がある。
薩摩義士伝
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/06/post-1656.html
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