バースト! 人間行動を支配するパターン
人間がメールを送受信する、ウェブにアクセスする、プリンターに何かを出力する頻度には共通パターンがある。図書館で本を借りるパターン、電話をかけるパターン、写真を撮るパターン、病院にいくパターンも同じだ。
「どういう種類の人間行動を調べてみても、つねにバーストのパターンがあらわれた。長い休止期間のあとに、短い集中的な活動期間が続く」
著者が発見したのは人間の行動がベキ法則にもとづくという事実と、人間が行動に重要度による優先順位をつけて生活しているという事実だ。このふたつのパターンを解析すると、従来は予測不可能と思われていた人間行動を、高精度で予測できる可能性がでてくるというのがこの本のテーマだ。
たとえば実験によれば、大抵の人間は、朝の居場所がわかっていれば午後の居場所を90%の精度で予測ができるという。普通の人間は同じパターンを繰り返しているからだ。実験では予測精度が80%を下回った人間はほとんどいなかったらしい。
逆にこのパターンから著しく逸脱した移動経路の人間は一般人ではなく、テロリストの可能性がある。FBIはそうした経路の逸脱パターンで犯罪者を発見して尋問しているそうだ。
人間の行動はランダムだから予想はできないと諦めていた分野でも、バーストのパターンを織り込んだ予測モデルをたてれば、人間の複雑な行動ももっと予測可能になる、そんな可能性を感じさせる内容。
『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』のアルバート=ラズロ・バラバシの最新刊。
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