息がとまるほど
面白い、面白い、とても性根がいやらしくて(笑)。
年上の上司との不倫。別れるつもりの最後のデートを同性の同僚に見つかってしまったOLの気苦労を描いた「無邪気な悪魔」。生き馬の目を抜くような銀座の夜の世界。独立して店を開きたいと思っている中堅ホステスが新人に教える生き残りの心得「ささやかな誤算」。だいたい妙齢の女子が主人公で、若さを失う焦りから生じる落とし穴にはまっていく。
女性の虚栄心、嫉妬、優越感、劣等感、愛憎、欲望が直接的に出てくる話ばかりで、それらが煮詰まって破綻する修羅場シーンは「息がとまるほど」怖い。状況設定はちょっとバブル的だし(著者の唯川 恵氏がその世代だからか)、人物描写が単純過ぎるのだが、その分、ドラマチックになっており、短編集としてスリル感を楽しめた。
これKoboで読んだのだが、Kindle版も出ている。短編1本あたりが15分くらいで読めるはずなので、電車内読書にちょうどいい。もっとでてないか同じ著者で調べる。
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