幕末銃姫伝―京の風 会津の花

| | トラックバック(0)

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
51u6tP1ZQ+L._SL500_AA300_.jpg

2013年NHK大河ドラマのヒロイン新島八重の前半生を描いた小説。ドラマの原作ではない。

新島八重は同志社創立者の新島襄の妻となり、社会福祉活動に貢献して日本のナイチンゲールと呼ばれた人物。まだ女性の活躍に批判的な明治時代にあって、その勝気な性格と旺盛な行動力により、悪妻、烈婦と評されながらも、女性の社会進出への道筋を拓いた。民間人の女性としてはじめて政府から叙勲されている。

この小説作品は、八重が新島襄と出会う前の、少女時代から最初の結婚、そして八重自身が武器を取って参戦した戊辰戦争と籠城戦までを描いている。会津藩の砲術師範の家に生まれた八重は、男勝りの性格と腕力を持つおてんば娘で、女だてらに最新の砲術を学んで育つ。

幕末、朝廷と幕府の間で板挟みにされ、やがて薩長に追い詰められていく会津藩。遂に戊辰戦争がはじまり、八重の住む城下にも戦火が及ぶと、自ら銃を持ち、大砲部隊を指揮して、苦しい籠城戦を戦った。「幕末のジャンヌ・ダルク」とも呼ばれる。結局敗戦してすべてを失うが、決してあきらめず、明治維新後の激動の日本を力強く生きた。

女性らしいことが嫌いで「私は、どうして女に生まれてきたのでしょう」と嘆く少女八重だが。兄の友人に憧れたり、思わぬ人から告白されたりと、恋愛面も盛んで、ストーリーに華やぎを加えている。

八重とは直接絡むことはほとんどないが、会津藩をめぐる政治の動きの中で、佐久間象山、勝海舟、高杉晋作、西郷隆盛、坂本竜馬など幕末の偉人たちが多く登場する。ひとりの会津の女性から見た戊辰戦争、会津戦争という視点で歴史物としても魅力的な作品だ。

大河ドラマの序盤部の予習としてとてもよかった。

Clip to Evernote

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 幕末銃姫伝―京の風 会津の花

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/3655

このブログ記事について

このページは、daiyaが2012年7月12日 23:59に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「Habibi [日本語版] [大型本]」です。

次のブログ記事は「手の影絵によるスタイリッシュなiPhoneアクションゲーム Shadow Love」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1