三菱総研の総合未来読本 Phronesis『フロネシス』〈06〉消費のニューノーマル
・三菱総研の総合未来読本 Phronesis『フロネシス』〈06〉消費のニューノーマル
三菱総研総合未来読本シリーズ6冊目。三菱総研オリジナルの3万人によるアンケート結果から新しい消費のトレンドを浮かび上がらせる。新市場のヒントがみつかる。
たとえば昔は女性の生き方というと、「専業主婦」、「OL」、「キャリアウーマン」の3種類だったが、現在はライフコースが多様化し、「コンサバ若年層」「ワーキングマザー」「らしさレス夫婦」「シングル女子」「スーパーウーマン」という種族が生まれたという。男性のライフコースは結婚しようがしまいが似たパターンに収束するが、女性の場合、結婚、出産、子育て、それに伴う退職、再就職と、選択パターンが複雑になるためライフコースが多様化するのだ。
だからサザエさんみたいな専業主婦や、バリバリ働くキャリアウーマンというステレオタイプにマーケティングしていてはだめで、新たな消費のニューノーマルを見出さないといけないというのが、今回のテーマだ。
3.11前夜に行われたという同志社大学浜 矩子教授と三菱総研の阿部淳一センター長の対談が面白かった。ニューノーマルにとっての豊かさと創造性の関係についてこんなやりとりがあった。
「
阿部 豊かさというのは、どれだけ選択肢があるのかということに尽きると思いますが、だんだん選択肢が少なくなっている気がしますね
浜 選択肢が少なくなるということは、選択するという知的活動がなくなるわけですから、奇抜なものや刺激的なもの面白いものを作る能力が退化してしまう。日本はガラパゴス化しているから駄目だといわれました。ガラパゴス自体はいいと思うんです。共通の価値尺度に振り回されることなく、純粋にその世界のなかで進化を遂げていく。とてもユニークで面白さがあります。大切なのはいかに巧みにガラパゴス化を進めるかです。なるべくほかの人がやっていることは見ない。一般的な解答がどこにあるのか、見極めようとしすぎると独自の発想が出てきません。何もない状態から考えることが必要なんです。」
検索したら情報がいくらでも見えてしまう時代に、どうやって自分のガラパゴス環境をつくるか。これは社会人も大学生も考えないといけないテーマだと思う。似たり寄ったりの学生時代、似たり寄ったりの社会人生活。そこにはあまり選択肢もないから、豊かさもない。
中途半端な環境ではネットにつながればすぐにみんな均質化してしまう。ガラパゴス環境は、誰かに弟子入りして厳しい環境で修行するとか、どこか閉鎖環境に閉じこもるとか、制約や孤立化に身を置いてみるということが有効なのではないかと思った。
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