水木しげるの古代出雲
「やはり大和政権が成立する前には出雲王朝があったに違いないッ!」
水木しげる曰く、30年位前から、古代出雲族の青年がちょくちょく夢にでてきて描け描けと頼まれていたのだそうで、それをやっと作品化にすることができたという構想30年の渾身の漫画傑作。大和中心の歴史観とは微妙に異なる出雲王朝オオクニヌシの視点で日本神話を解釈していく。大胆な歴史解釈をするのではなく、古事記や日本書紀には描かれなかった『出雲国風土記』系神話を取り上げたり、国譲りについて「しかし実際にこんなキレイ事じゃなかったんだろう」というコメントをつけたりして、記紀の相対化を試みる。
天孫族の正体や国譲りの真実など水木しげるの推測を語る部分もあるが(そしてその部分もなかなか面白いが)、基本的には史実とされていることや最近の発掘成果も盛り込んで、歴史と神話の両側面から出雲地方の古代史を無理なく描いていて、学習漫画としてもよさそう。
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